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縄文土器は定住革命のうめきだった 定住革命について その3


JR長岡駅構内 縄文土器
blog.goo.ne.jp/dachasnowman/e/c553a183391d279...


縄文時代の遺物を見ると、現代のわれわれにはけっして再現できない何かを感じる。

力強い文様の土器。精緻な透かし彫りの耳飾り。奇妙な人形のような土偶。

直径50メートルもの竪穴を掘り込み、その土を周囲に土手のように盛り上げた環状巨大遺跡。

すべてが、われわれの想像力や創造意欲から遠く離れている。

こうした異様な創造力は、縄文の定住革命の所産なのかもしれない。

ある年に食料が余るほど手に入ったとしても、翌年もそうなる保障はない。縄文時代には、食料保存の方法も限られていた。しかし人間は、いちど生まれると数十年は生きる。いったん増えた定住人口を、変動する収穫量によって養える保障はなかった。

じっさい、長野県や関東地方では、縄文集落の数が激増・激減をくりかえした。これはおそらく、食料に余裕が出て人口が増え、食料難がきて、共同体が維持できなくなったのだ。

こうした経験から縄文人は、あえて食料生産を拡大しないという知恵を学んだのだのではないか。

余った労働力と創造力は、直接生産に結びつかない工芸や、共同体の結束を固めるための祭壇や記念碑の建設に向けられていった。

実用的には無用のはずの複雑な文様を土器にほどこし、精巧な装身具や呪物づくりに精を出し、巨大な土手をつくり、巨樹を運び、巨石を立てた。

余剰力を生産拡大のために使わないという縄文社会のあり方が、一万年という縄文時代の長い長い「停滞」と、現代人には再現不可能な「豊かな」文化を生んだのである。

同じ「定住時代」に属するとはいえ、縄文(生産力・人口の制御)と現代(生産力・人口の増大)では、「定住」の帰結も変化しているのだ。





| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 歴史とは何か | 22:54 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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