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   『山家集』1118

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心身問題 人間存在のトランスの発見

人間は、精神と肉体からなる。

 

では、精神はいかにして肉体に影響を及ぼし、肉体はいかにして精神に影響を及ぼすか。

 

これが心身問題といわれるもので、長い間、哲学上の難問とされてきた。

 

たとえば、「火事だ!」という認識(精神)が、いかにして「馬鹿力」という肉体の働きを引き起こすのか。

 

その答えは、人間力が媒介になって、精神と肉体を等置している(対応させている)、ということである。人間力によって、精神のあり方は肉体のふるまいと等置され、肉体のふるまいは精神のあり方と等置される。

 

人間力には、認知力、認識力、運動力、表現力、行動力、組織力、労働力、生産力といったものが含まれる。

 

これをトランスで描くと、次のようになる(この図は主体たる人間力からはじめて、反時計回りに運動する)

 

 

 

 

        

 

              【 人間存在のトランス 】

 

 

 

          肉体       ← 等置   ←   精神

 

            ↘            ↗

                                                規範

               ↘     ↗

 

                 人間力

 

 

 

 

 

人間力は、精神のあり方(火事だ!という認識)と肉体のふるまい(馬鹿力)を等置する(対応させる)力である。人間力が、精神と肉体を媒介する。

 

これはズルイ答えではないか、と人はいうかもしれない。

 

精神と肉体を結ぶものに「人間力」という名前をつけただけ、概念をつくっただけではないか、と。

 

そうともいえる。

 

だが、もともと心身問題とは、人間にとって精神と肉体が関連しあっているという現実を前提にして(それを事実と認めたうえで)、概念上、この現実が説明できる媒介を求める問題である。ならば、その媒介を概念化して適切な名称をつけ、精神と肉体を媒介する位置に据えれば、それが答えである。

 

この媒介を人間力と呼ぶことを、私は提案したい。人間力のあり方は、その人が抱く規範(上記の▽の真ん中で作動する)によって規定される。規範養成の根本原理は、社会的時間である。

 

こういう概念上の解決ではなく、こうした概念の運動を支える生命機構が知りたいなら、それは医学や脳科学の分野になる。ただし、医学や脳科学は、自己成長力と自己増殖力をもつ物質的組織体のあり方を、物質の運動原理によって解明する分野である。物質は、物質どうしてトランスを形成している。

 

「精神」は物質ではなく、人間が抱く観念であるから、DNAやシナプスという物質に「精神」を発見することはできない。

 

もし、「精神」と「肉体」の生理的基盤ではなく、概念上の関係を問うなら、答えはシンプル。両者のあいだに媒介があるのであり、それは「人間力」と呼べるものである。

 

「精神」「肉体」「人間力」は、人間存在のトランスをなして運動している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の哲学 世界はトランスする | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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