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   『山家集』1118

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素朴概念から科学概念へ それは飛躍である おわり

「素朴概念」は、物理教育だけの話ではない。

 

 

たとえば英語についても、中学校にあがったころの子どもがもつ「素朴概念」(思い込み)がある。

 

たとえば、アルファベットは小学校で習ったローマ字と同じだから、日本語風に読むのだろうという素朴概念。ふだんの生活でカタカナ語がたくさん使われていることも、英語をローマ字読みする原因になっている。そのため、history を「ヒストリー」と日本語読みして、それが英語だと思ってしまう。

 

もうひとつは、英語は日本語に訳せたときわかったことになるという思い込み。これはテレビや映画や教科書や単語帳で「和訳」をくりかえすことで、ますます強固になる「素朴概念」である。

 

 

歴史の場合、好き嫌いというレベルでの「素朴概念」がつくられやすい。歴史では、戦国武将など、生身の人間(の概念)が登場するので、日常的な「素朴概念」がかなり活用できるところに特徴がある。

 

まずは「素朴概念」によって歴史上の人物や遺物に興味をもてるなら、それは良いことである。だが、素朴概念だけで事が済むなら、歴史学はいらない。素朴概念を超える思想的な概念をうちたてなければ、歴史学は学問とはいえない。

 

 

...

 

 

注意したいのは、素朴概念を攻撃したり洗練させれば、いつのまにか科学概念になるかというと、そうではないということだ。

 

上記の新田論文は、生徒の素朴概念をそのままにして物理の授業をやっても、物理の概念は「試験が終わるとともに捨て去られ」るとか、授業で素朴概念の誤りを指摘しても「殆ど効果はない」と書いている。ちょうどそれは、病気の人に病状を説明しただけでは治療にならないのと同じだ、と。

 

素朴概念は概念上の「病状」なので、本人が科学概念を自分で運用して納得することが、すなわち治療になる。

 

学校は、生徒が素朴概念から科学概念への飛躍=治療をなしとげるための施設である。

 

その飛躍を楽しくする工夫が大事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(おわり)

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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