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   『山家集』1118

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「生産」から生活へ 人間が人間を生産する その3

もしそうなら、社会が人間をつくることも、人間が観念をつくることも、「生産」に含まれることになる。

 

これは案外と大事なことだと私は思う。

 

上記の「経済学批判序説」(執筆1857年)と題するメモを作成したあと、マルクスは著書『経済学批判』を出版した。その序言(1859年1月付)に、のちに「史的唯物論の定式」と呼ばれる重要な叙述が含まれていることは、よく知られている。

 

「定式」で目立つことのひとつは、「生産」という言葉が頻出することである。

 

いわく、「生活の社会的生産」「物質的生産諸力」「生産諸関係」「物質的生活の生産様式」「経済的な生産諸条件」「社会的生産過程」...  重複を含めると、わずか2ページの訳文に「生産」という語が10回余り現れる(以上の訳語は、岩波文庫版、13-14頁による)。「定式」の背骨は、「生産」である。

 

これらの「生産」は、物質的財貨をつくることだけを意味するのだろうか。

 

たとえば、「定式」冒頭の「生活の社会的生産 die gesellschaftlichen Produktion ihres Lebens 」という表現。そこには、人間による物質消費や、人間や財貨の移動や、組織の一員としての活動や、文化的な表現をふくむ、人間のトータルな生の「生産」というニュアンスが感じられる。

 

「定式」がいう「生産」には、観念をもち組織に属して労働する人間を、社会が「生産」するという意味が含まれているのではないか。

 

人間が社会を生産し、社会が人間を生産する。マルクスは、この循環する運動の全体を「生産」という概念で理解していたのではないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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