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みにつもる ことばのつみも あらはれて こころすみぬる 三重(みかさね)のたき

   『山家集』1118

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「生産」から生活へ 人間が人間を生産する その2

この部分の意味を理解するには、後続する文との関係を考慮する必要がある。

 

だが、マルクスがつけた小題「(1)生産」の部分だけでも、訳本で九頁くらいある。しかもこれはマルクスが生前公刊しなかったメモなので、文脈をたどるのは容易ではない。

 

そこで、私の個人的な見方であることをお断りしたうえで、結論から述べてみたい。

 

ここでマルクスがいう "produktion der Individuen" とは、「諸個人生産すること」ではなく、「諸個人生産すること」という意味である。

 

なぜそう思うか。

 

このあとにつづく叙述は、スミスやリカードが議論の出発点においた「ばらばらの個々の猟師や漁夫」、そして孤島のロビンソンについてである。つまり、ここでマルクスが問題にしているのは、なぜ過去の経済学は、こうした「生まれながらに独立した主体たち」(筑摩版、143頁)すなわち「個人」という観念から出発したのか、ということである。

 

この問いに対するマルクスの答えは、その直後に書かれている。

 

 

「18世紀のこの個人は、一方では封建的な社会形態の解体の産物 das Produkt であり、他方では16世紀以来、新たに発展した生産力の産物 das Produkt であった。」(筑摩版、143頁)

 

 

つまり、”諸個人の生産 Produktion der Individuen" とは、近代社会が”ばらばらの諸個人”を「生産」したこと、そして、その先取り的な反映として、過去の経済学がそうした個人という観念を「生産」したこと、というふたつのことを指している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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