ごきげんようチャンネル


みにつもる ことばのつみも あらはれて こころすみぬる 三重(みかさね)のたき

   『山家集』1118

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文章には、文とは異なるレベルの規範が適用される

マルクスはエンゲルスへの手紙のなかで、自分の『資本論』の「根本的に新しい要素」について述べている。

 

そのひとつは、「価値規定がブルジョア社会では『直接には』行われない」ことを発見したことだという(『マルクス・エンゲルス書簡選集(中)』新日本出版社、2012年6月、38頁)。

 

これは資本論第三部で扱う生産価格のことを言っており、利潤率の平均化作用によって価値が生産価格に転化し、価値規定は社会の総生産物に対しては成立するが、個々の部門では成立しないことを指している。(同書39頁の注釈による)

 

これは言語についてもヒントになる。

 

言語分析のもっともマクロな対象は、文の集積たる「文章」である。文章には、表現は短いが認識内容が文章に相当する俳句のようなものもあれば、表現が非常に長い小説のようなものもある。

 

いずれにせよ、文章の本質は、まず「題名として表現されるような集約された思想」があって、「これが骨組みとなって全体の表現が展開する」ところにある(三浦つとむ『日本語はどういう言語か』講談社学術文庫版、250頁)。つまり文章は<一貫性のある思想の展開>である。

 

こうした文章のレベルになると、単発の語彙や単純な例文とは異なるレベルの規範が適用される。

 

上記のマルクスの言葉を利用していえば、

 

「実際の社会では利潤率の平均化作用によって価値が生産価格に転化し、価値規定は直接には行われない。それと同じように、実際の文章では語彙や基本文のレベルでの規範(文法)が直接適用されるとは限らない。」

 

ということになろう。

 

英語の看板や見出しなどで、なぜ冠詞や be動詞がしばしば省略されるのか。俳句のような定型が成立する理由と意義、そして文体という文章の個性はどのようにして成立するかといった問題は、文法というより文章規範の問題として考えるべきだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の文法 トランス・グラマー | 00:00 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
すべて競技にはルールという
拘束(規則・文法)がある。

競技の中で卓越した能力を発揮して、
自由自在に動き回れる人ほど、
身体と思考を競技それぞれの拘束に
順応させている。

つまり拘束・規則・文法の中にいる。

拘束に体や思考を順応させることを練習という。
練習は退屈で不自由極まりないように見えるが、
その不自由は、自由を獲得するための道のりだ。

ルール・拘束のある競技において、
自由は、不自由の対立概念ではなく、
不自由の奥にある状態のことだ。

創造性や想像力は、
何も拘束がないところからは生まれない、
拘束によってもたらされる。

競技の決定権は、競技者にあるのではなく、
競技それ自体の運動にある。

競技者は、競技の進行につれて、
競技が開始した運動を
必死になって追いかけていくことなのだ。

競技開始以前には考えもしなかった状況に
試合は展開していく。
つまり、
競技を主体的にコントロールするのではなく、
受け身になって、
競技者がそのつど状況を切り開くように
競技自体の運動は進む。

優れた試合は、競技者の意図を超える。

すぐれた文章・作品は、作者を超える、
その状態を、拘束からの<自由>という。
| 朝 | 2018/12/01 10:58 AM |
資本論の文章は
何度読んでも魅力的で面白い。

それは、本当に自分で切り開いた人は、
決して高みから見下ろしたりはしないからだ。

自分が最前線にいる限り、
高みから見る視線なんてない、
文字通り手探りだからだ。

資本論のマルクスは、
現代でも最前線で走っている。
| 朝 | 2018/12/01 9:09 AM |









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