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         大鏡


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心眼に映して心が伝わる 夏目漱石『草枕』から

『草枕』は、1906(明治39)年9月発表。『我輩...』でデビューの翌年の作。漱石は39歳になる。

 

昔(たしか高校時代)、読もうとしたとき、はじめの部分に漢語が多いのに閉口して、ストーリーがつかめないままやめてしまった。それから数十年。今日みれば、なかなか充実した筆で、楽しめる。

 

冒頭から数行のところに、次の部分がある。

 

 

「住みにくき世から、住みにくきわずらいを引き抜いて、ありがたい世界をまのあたりに写すのが詩である、である。あるいは音楽と彫刻である。

こまかにえば写さないでもよい。ただまのあたりに見れば、そこに詩も生き、歌もく。着想を紙に落さぬとも※(「王+膠のつくり」、第3水準1-88-22)きゅうそうおん胸裏きょうりおこる。丹青たんせい画架がかに向って塗抹とまつせんでも五彩ごさい絢爛けんらんおのずから心眼しんがんに映る。」

 

 

 

三十才の画家の心を借りて、詩も歌も「心眼に映る」ところが本質だと、漱石は言っている。

 

この「心眼」が自己である。いわば自撮りのときのスマホである。自分の心をスマホで映像にすれば、われわれは自分の心を見ることができる。

 

心眼が撮影した映像を送信された人は、その映像をまじまじと見るかもしれない。そしてまじまじと見た心を自分のスマホ(自己=心眼)で撮影するなら、それが鑑賞である。鑑賞した映像をさらに他者に送信すれば、批評となる。

 

こまかにいえば、こういうことが起こっている。

 

要は、撮影し、鑑賞し、批評する自己が活躍している。

 

きっと漱石は、この「心の仕組み」もわかっていたことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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