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あきらけき かがみにあへば すぎにしも いまゆくすゑの こともみえけり

         大鏡


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メタ・ツールは、人間特有の知恵

メタ・ツール meta-tool という言葉がある。道具を加工したり、道具をうまく使用するための道具、つまり<道具のための道具>という意味。

 

チンパンジーが石でクルミを割るとき、台を使うことがあるという。この台がメタ・ツールである。しかしチンパンジーは、「道具そのものを加工することはない」(関昌家・鈴木良次編『手と道具の人類史 チンパンジーからサイボーグまで』協働医書出版社、2008年、17頁)。


これに対して人間は、道具そのものを加工する。道具の加工に必要な道具には、万力のような「固定具」が多い。16頁

 

固定具の例としておもしろいのは、「投げ槍器」。130‐131頁。投げ槍器とは、槍のお尻にひっかける数十センチの棒で、石器時代からある。これを使うと人間の腕の長さが倍になったような効果があり、槍の速度が増す。速くなるぶん遠くに飛ぶし、正確さも増しただろう。いわば「飛ばす万力」である。

 

 

 

 

ラスコー クロマニョン人

 

      http://kyuhaku.jugem.jp/?cid=20

 

 

投げ槍器のような、メタ・ツールをつくる労働。これぞ人間に特有のものだ。

 

むかし経済学の講義で、<魚を獲りたければ、釣竿をつくるために山に行ってナイフで竹を切る。これぞ人間らしい知恵だ>と教わって、感心したことがある。

 

道具を使うための道具、その道具を加工するための道具、その加工道具をつくるための道具...

 

メタ・ツールは何層にも縦深化できる。

 

言語が道具だとすれば、投げ槍器のような、その道具を使うための道具を作ることは、知恵のいっそうの深さを意味する。

 

私がトランス・グラマー(英語の概念の概念)やトランス・ヒストリー(歴史の概念の概念)をつくろうとしているのは、<道具のための道具>=メタ・ツールづくりこそ、人間らしい知恵の例だと思うからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:00 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
言葉は人間が自然の拘束を免れることのできる自由の領域をつくりました。

その反作用として言葉は自然の制約を受けます。自由の領域はそのぶん制約を受けてきました。

文字の無い時代の言葉は音声の届く相手にしか使えなかった。それが言葉の歴史の最初期の自然の制約でした。

文字の発明は言葉の届く相手を飛躍的に広げました、それだけ言葉のつくる自由の領域は拡大しました。





| 文字の発明 | 2018/08/31 8:01 AM |









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