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         大鏡


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生産物の中核は肉体をもつ人間 生産のトランス

生産のトランスでは、客体は広い意味での労働対象であり、転体は生産物である。

 

注:ここでいう労働対象とは、自然物、中間生産物、家畜、人間の肉体を含む直接の労働対象、道具・機械などの労働手段のほか、家屋・土地・道路など労働の対象的条件まで広く指す。労働対象は立地、気候、人口などの生産環境に支えられる。

 

社会がつくる中核的生産物は、肉体をもつ人間である。人間や家畜の生殖も生産に入る。他の生産物は、人間の欲求を満たすために生産される。

 

社会全体でみれば、労働者は生産者であり、同時に消費者であるから、次のように描けるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽の三辺は、それぞれ労働・生産・消費の局面であり、それぞれの局面の実体(生成力)を労働力・生産力・消費力と呼ぼう(なお、労働の不可欠な一側面として交通ー労働対象の場所の変更ーがある。たとえば歩行は、自分の肉体という労働対象の場所の変更という労働である。労働力については、注1を参照)。

 

▽の主体である労働者/生産者/消費者は、それぞれの本来的性格と歴史的経緯により、さまざまに組織化されていることがある(組合、企業連合、消費者団体など)

 

▽の真ん中で作動する規範は、労働・生産・消費規範と呼べる。この規範は、記憶・伝統(過去)や予想(未来)の認識を含む。

 

消費の局面において、生産物(人間を含む)の使用価値が発生する。使用価値の内容は、消費者の消費力に依存する。消費者にとって、生産物からほんらい得られるものは使用価値であるが、資本主義は、上記の生産のトランスの主要なものを私的活動としたために、生産物が私的なものとなり、これを全社会的に交換する必要が生まれ、交換のトランスを肥大化させた(注2 参照)。

 

生産のトランスには、マイナスの生産つまり破壊・侵害・汚染が含まれる。

 

注1:マルクスは、『資本論』初版公刊(1867年)の数年前まで、「労働能力 Arbeitsfaehigkeit, Arbeitsvermoegen」という表現を主に使っていた。「労働能力」という概念は、賃金を「労働 Arbeit の価値」とみなした古典派経済学の限界を突破し、剰余価値の理論を確立するうえで重要な武器となった。しかしその後マルクスは「労働能力」という表現もやめ、もっぱら「労働力 Arbeitskraft 」という表現へとシフトしていった。このシフトにも重要な意味があった。労働能力は人間一般に存在する抽象的なもので、容易に変化しないが、労働力は日々消耗と回復を繰り返し、内部に社会的バリエーションをもち、歴史的にも変化する、より具体的な力である。「労働力」という概念を獲得したことによって、賃金闘争や賃金変動の本質も、労働力の価値あるいは交換価値の問題として正確に説明できるようになった(マルクス(森田茂也訳)『資本論 第一部草稿』光文社古典新訳文庫、2016年、訳者解説、407-408頁を参照)。

 

注2:交換のトランスは、人間の認識力=等置力を媒介とするので、後述する表現のトランスと同型になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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