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         大鏡


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心のサランラップ

「サランラップ」は、誰でも知っている台所商品。旭化成のロングセラー(1960年発売)。

 

この製品のマーケティング担当者が、サランラップがかかえる「最大の課題」を、こう書いている。

 

 

「カテゴリー的に関与度が低く、ラップとして一般名称化してしまい、ブランドとして認知されないこともある中で、いかにしてサランラップに興味を持ってもらうきっかけをつくるか」(『宣伝会議』2018年9月号、15頁)

 

 

微妙な内容をうまく表現していて、感心した。

 

「カテゴリー的に関与度が低い」というのは、台所にラップがあるのは当たり前になっており、ラップというカテゴリーじたい、「なくてはならない」という積極的な感覚に欠ける、という意味なのだろう。そういえば、あれは透明で味も匂いもなく、存在感が薄いところがある。

 

だがラップは、雑多な食材をなんでも「ひとまとまり」にできる優れもの。

 

我田引水だけれど、英語の概念を「まとまり」ごとに仕分けしたトランス・グラマーは、いわば英語のサランラップ。私がいま取り組んでいるトランス・ヒストリーは、人間社会の「まとまり」を仕分けした歴史のサランラップ。

 

 

https://note.mu/ymiura/m/m692d6f6108f1

 

 

一般に、ものごとをまとめている基礎的規範は、存在に気づきにくい。サランラップのように、「カテゴリー的に関与度が低」いのだ。

 

この文の最後に、いかにしてサランラップに興味を持ってもらう「きっかけをつくるか」が課題だと表現しているところも、マーケティングのプロらしさが現れている。

 

サランラップに興味をもってもらうというより、興味をもってもらう「きっかけ」をつくること。マーケティング担当者がやるべきことはそれなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の文法 トランス・グラマー | 09:12 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
「カテゴリー的に関与度が低い」ということは、一般的に知られていない、個々人が使用価値を見出しているということです。

天然漆を扱う蒔絵師は、小さな陶器の盃に色分けした漆を作り置きします。

描いて使えば盃の中の漆は減ります。減るたびにフタ紙を作り変えねばなりません。

サランラップが便利なのは、盃の漆の減る量に合わせて、フタとして小さく使えることです。
| 絵師 | 2018/09/04 1:23 PM |









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