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「身分型自力社会」としての近世日本

一時代の社会を形成し構成する主体を「社会的諸力」と総称するなら、江戸時代の社会的諸力の特徴はなにか。

 

それは「身分型自力(じりき)」だったと洞察した論文がある。

 

水本邦彦「人と自然の近世」(水本邦彦編『環境の日本史 4 人々の営みと近世の自然』吉川弘文館、2013年所収)

 

中世の分裂をくぐりぬけ、全国を統合した公儀(徳川幕府)によって平和が実現し、身分と地方による分業で社会が統合され、それぞれの身分と地方が「自力」(13、20、27、36頁)を発揮して、社会的諸力が発展した。それが江戸時代であった。

 

社会的諸力の基礎は、物質的生産をになう労働力である。この時代、人々の労働力が集中した対象は、大地であった。「自力救済の中世社会を脱した近世社会においては、人々のエネルギーは大開発や自然改造、町づくりや村づくりに集中的に向けられることになった」(水本「総論」2頁)。

 

大地の開発を担った主力は、「自力」への自信を深めた百姓たちであった。そして災害からの復旧や予防では、藩や幕府の出動が要請された。武士と百姓が共同することによって互いの関係が深まり、身分的自覚を崩すことなく、社会全体の運営ルールが確立していく。「自然の改造を通して社会が構造化され、社会関係が濃密化してい」った。(水本論文、15頁)

 

「身分型自力」によって水田のような準自然的生産条件や、農業技術などの社会的生産条件が整備拡充され、それを通して社会が統合され、社会的諸力が発展した時代。

 

「[和泉国]日根野世界において展開した権力や百姓たちの自然改造は、こうした社会革命や価値転換が生み出した具体例のひとつである」(水本論文、15頁)

 

「自然改造」「社会革命」「価値転換」、つまり労働/生産力・行動/組織力・認識/表現力の編成たる社会的諸力が、身分的秩序を通して発展した時代。

 

自然改造を通じた「身分型自力社会」27頁とでもよぶべき、社会構成体としての近世日本。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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