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         大鏡


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日本の20世紀 侵略の世紀

日本の20世紀は、侵略とその後始末の世紀だった。

 

日本は、20世紀のはじめ、独立国であった大韓帝国(1897-1910)を廃滅させて植民地にした。大韓帝国の滅亡は、ふつう1910年の「日韓併合に関する条約」によるとされるが、実質的には、日露戦争の講和条件にもとづいて1905年11月調印された第二次日韓協約で日本が外交権を掌握し、同年12月、韓国統監府を設置して初代統監に伊藤博文を任命した時点で、朝鮮半島の植民地化が確定した。そう考えると、以来、日本の朝鮮半島侵略(国家廃滅と異民族支配)は1945年8月まで、40年にわたったことになる。1965年の日韓基本条約までと考えれば、日本の朝鮮半島侵略は、さらに20年が加わって、60年間である。北朝鮮政府とは、まだ国交正常化さえ実現していない。

 

日本による台湾の植民地統治(異民族支配という侵略)は、普通、日清戦争をうけて領有がはじまった1895年から、日本敗戦の1945年までの50年とされるが、1952年締結の日華平和条約までと考えれば、60年足らずの侵略となる。

 

第二次世界大戦は1939年9月〜1945年9月までの6年間とされる。この戦争の開始はヨーロッパ(ドイツ)、終わりはアジア(日本)である。戦争の終結は休戦の成立ではなく平和条約の調印によると考えるなら、日本の米英蘭などとの戦争は、1941年の真珠湾攻撃から1951年サンフランシスコ平和条約までの10年ということになる。

 

対米英蘭戦は帝国主義どうしの戦争で、「侵略」ではないと思う人もいるだろうが、はじめに戦争を仕掛け、相手の領土(植民地を含む)を侵害したのは日本であったという点で、日本の侵略性は否定できない。

 

日本が中国本土に駐屯軍(拠点は天津)を置いて軍事的圧迫を行ったのは、1901年の北清事変(義和団事変)議定書以来のことで、日本がこの議定書を破棄したのは、50年後に調印したサンフランシスコ平和条約第十条によってであった。

 

✳サンフランシスコ平和条約 第十条 日本国は、千九百一年九月七日に北京で署名された最終議定書並びにこれを補足するすべての附属書、書簡及び文書の規定から生ずるすべての利得及び特権を含む中国におけるすべての特殊の権利及び利益を放棄し、且つ、前期の議定書、附属書、書簡及び文書を日本国に関して廃棄することに同意する。

 

日本による中国侵略ひいては世界平和の撹乱は、1931年9月の満州事変で活発化し、1937年7月の盧溝橋事件をきっかけに全面化して、1945年の日本敗戦を迎え、満州事変からちょうど20年後のサンフランシスコ平和条約調印によって形式的な区切りを迎えた(私のいう「20年戦争」)。

 

ただし、大陸中国はサンフランシスコ平和条約に調印しなかった。大陸中国との戦争の正式の終わりを1978年締結の日中平和友好条約とするなら、日本の中国侵略は、20世紀の大半を覆って、80年足らず続いたことになる。

 

沖縄については、太平洋戦争末期に日本軍が沖縄に進駐し、住民に対して、本土にはなかった戦争犯罪を犯したことに注目すれば、それを国内「侵略」といえるかもしれない。この国内「侵略」は、1945年の日本軍壊滅をもって事実上は終結したが、政府の謝罪と補償がきちんと行われていない点では、まだ正式に終結したとはいえないだろう。

 

以上のように、侵略の開始から終結まで、時期も内容も、地域ごとに多様である。

 

このことじたい、日本の20世紀が、広範な侵略とその後始末の世紀であったことを示している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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