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         大鏡


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空の思想 概念は自分がつくり、自分をつくる観念である

対象の本質をとらえた観念を、概念という。

 

概念は対象そのものではなく、主体が対象に投射・転態する(思考・行動する)さいの規範であり、人間が抱く観念の一種である。観念は、思考・行動する人間にとって実在する。

 

主体は実体とも呼ばれ、言語では主語となるものである。認識の主体=認識力も、現実の人間がもつ観念的能力である。

 

現象から類推して対象を形態的に分類した概念だけでは、浅い規範=本質認識になる。浅い本質認識に依拠すれば、浅い投射・転態によって浅い転体が生まれる。浅い転体に投射すると、浅い規範が再生産され、愚かな行動をくりかえす。だから人間は、より深い概念を求めようとする。

 

他方、空(くう)の思想とは、人間が抱く観念(→概念→本質→規範)が対象そのものではなく、<自分が社会的につくり、社会的な自分をつくるもの>であることに気づくことである。自家生産、自家消費。自分をつくる規範は自分がつくっているにすぎないから、同じ行動するなら、より優れた規範へと遠慮なく移行すべきである。

 

この根本的な気づきがあれば、自分の概念を絶対視したり固定的に見ない態度が維持できる。空は、あらゆる概念とその発展を根本から支える概念である。

 

 

規範の構造を知ろうとするのは科学的態度である。規範とは、<自分がつくり、自分をつくるもの>にすぎない。それを知ることは、宗教的な知恵である。

 

科学的態度は、現実のなかに入ることを要請する。宗教的知恵は、現実から一歩引きながら現実のなかに入ることを教える。

 

現実から一歩引きながら現実のなかに入る。

 

これが、知恵ある人間の姿である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の哲学 世界はトランスする | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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