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         大鏡


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原爆はどういう犯罪か

2009年8月、「イッセイ ミヤケ」ブランドで知られる三宅一生さんが被爆体験を新聞に発表して話題になった。

 

ニューヨークタイムズに載った英文の手紙 "A Flash of Memory"(2009年7月13日付)は、もともと三宅氏がホワイトハウスに送った手紙で、ホワイトハウスからタイムズに転送され掲載されたものだという。

 

読んでみると、飾り気のない表現のなかに、ハッとする部分がある。

 

7歳で原爆による破壊を体験したことから、創造に強い憧れをもったこと。

 

しかし「被爆デザイナー」などとレッテルを貼られないよう、今日まで被曝体験を語らずにきたこと。

 

この手紙でもっとも印象に残るのは、原爆について、「人間が憎しみからお互いにしてしまうこと what humans do to one another out of hatred」と表現している部分だ。

 

被爆体験は、当日の閃光や破壊、そしてその後もつづく闘病や差別といった面から語られることが多い。

 

しかし、それだけでは被爆者が沈黙を守ろうとする理由が十分理解できないのではないかと私は思ってきた。

 

だいぶ前のテレビで、地下鉄サリン事件の被害者で、精神的にショックをうけて外出できなくなった若い女性が、こういうことを語っていた。

 

「あの日、たくさんの人が駅で倒れているのを横目で見ながら、私はそのまま会社に出勤してしまった。なぜあんなことをしたのだろう? それを思い出すと自分が許せなくなり、立ち直れないのです」

 

この人は、自分への失望によって苦しんでいた。

 

被爆体験は、人間への失望をふくんでいたのだと思う。

 

原爆は、人間への失望に根拠を与えた犯罪なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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