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あきらけき かがみにあへば すぎにしも いまゆくすゑの こともみえけり

         大鏡


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人類は自然の一呼吸にすぎない

国木田独歩の「空知川の岸辺」(1902年)という紀行文は、開拓時代の北海道を旅した記録だが、あけっぴろげな人情と、冷え冷えとした光景が描写してある。

 

そして宇宙のなかの人間の意味について、ああそうだな、と思わせるところがある。

 

 

 

 

 林が暗くなつたかと思ふと、高い枝の上を時雨がサラ/\と降つて来た。来たかと思ふと間もなく止んでしんとして林は静まりかへつた。


 余は暫くジツとして林の奥の暗くなつて居る処を見て居た。


 社会が何処にある、人間の誇り顔に伝唱する「歴史」が何処にある。此場所に於て、此時に於て、人はたゞ「生存」其者そのものの、自然の一呼吸の中に托されてをることを感ずるばかりである。

 

 露国の詩人は曾て森林の中に坐して、死の影の我に迫まるを覚えたと言つたが、実にさうである。又た曰く「人類の最後の一人が此の地球上より消滅する時、木の葉の一片も其為にそよがざるなり」と。


 死の如く静なる、冷やかなる、暗き、深き森林の中に坐して、此の如きの威迫を受けないものは誰も無からう。

 

 

 

 

このような自然の「威迫」を、われわれが感じる機会はめっきり減った。いや、このごろ自然は、季節から外れたり暴風のように荒れるばかりで、底深い威迫を感じさせる力を減退させているようだ。

 

地球は衰滅する。

 

ほかに残された道はないような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 06:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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