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         大鏡


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希望の案内人

第二次世界大戦中。スペイン国境まで十数キロの、フランスの小さな村。

 

そこは、ナチスドイツの追求を逃れ、スペインからアメリカに亡命しようとするユダヤ系の人々であふれていた。そのなかに、ひとりの若い母親と4歳の女の子がいた。

 

月のない夜、国境越えが決行された。

 

山を登るにつれ、苦しくなる。はじめ若い母親は女の子を抱えていたが、すぐに力尽きた。周囲の人が女の子を運んだ。

 

やがて、最年長の老人がうずくまって言った。

 

「もう進めません。わたしにかまわないで、行ってください」

 

すると、案内していた地下組織のメンバーが、かがみこんで熱心に告げた。

 

「あなたに残った力は、どんなにわずかであっても仲間全体のものです。あなたはまだ死んでいません。私たちは、あの女の子を運ぼうとしています。あなたが息絶えてしまうまで、われわれを助けてください。どうか、あの女の子を助けてください。」

 

逃避行のなかで、三人の老人が三度同じことをいい、そのたびに同じことを告げられて立ち上がった。

 

朝の光が射したとき、一行は山を越え、スペイン領に入っていた。

 

落伍者はいなかった。

 

 

(F・アウズラー(鳥羽徳子ほか訳)『現代のたとえ話』教文館、1974年)

 

 

 

これは実話だそうだ。

 

山中の老人たちは、いったん自分への希望を捨てた。しかし、女の子への希望が、老人たちの新たな希望になった。

 

希望とは、自分だけで抱くものではないー そう思えたとき、本当の希望になるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の哲学 世界はトランスする | 00:02 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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