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         大鏡


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元素と原子のちがい わかりますか?

元素 element と原子 atom は、どう違うか。これは意外とわかりにくい。

 

水素を例にとろう。

 

元素としての「水素」というのは、古代以来知られてきたいろいろな「現象を起こす元」を指す言葉であった。

 

たとえば、空気より軽い、空気中で火をつけると一瞬で燃えて水になる、水溶液が酸性になる、といった現象を起こす元を、「水素」と呼んできた。元素とは、世界を構成している元のものの、機能の認識のことだった。

 

だが、そうした性質を担っているのは、なにか極小の、構造をもった物質ではないかという発想も、古代からあった。こちらの発想を「原子」論という。近代になって原子という物質的存在を主張したのは1803年、イギリスの化学者ジョン・ドルトンで、原子の存在が広く認められたのはそれから100年後、20世紀に入ってからのこと。

 

以来、原子の研究は飛躍的に進歩し、現在では、原子核のなかの陽子の数によって原子の性質が決まることがわかっている。

 

陽子の数は 1、2、3、... のように整数で増えるから、原子1、原子2、原子3、... のように陽子の数で背番号をつければうまく区別できる。たとえば、昔から「水素」という元素名で呼ばれてきたものは、原子としては陽子が一つだから「原子1」となる。

 

すると、元素(機能)と原子(構造)、どちらの名前で呼ぶかが問題になるが、けっきょく、名称としては従来どおり「水素」と呼び、それに「原子番号1」と注記することになった。

 

原子番号がわかっていて、元素名がまだないものについては、あらたな元素名がつけられていった。

 

こうして、現在使われている周期表は、<水素H・原子番号1>といった両面並記的な表記がおこなわれているのである。

 

 

(以上、石原顕光『トコトンやさしい元素の本』日刊工業新聞社、2017年より)

 

 

 

元素と原子という、ふたつの発想がひとつの周期表に書かれている。

 

われわれが両者を混同しがちなのも無理はないということになる。

 

 

 

 

 

 

periodic_01

 

   周期表の例。水素の元素記号が「H」。その横に「1」とあるのが、原子番号。    

 

        http://ojamemo.com/utility/periodic-table-002/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の哲学 世界はトランスする | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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