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         大鏡


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史的唯物論の暫定的総括 社会の生産諸力が社会の成員に投射して社会構成体をつくる 

社会のトランス(社会の自己超越のあり方)は、次のように描ける。

 

 

 

 

    社会構成体      社会成員    

 (土台・上部構造・意識諸形態)    (生産物・組織体・表現態)

 

  ▽

           

           生産諸力

  (ヒトと社会構成体がもつ労働/生産力・行動/組織力・認識/表現力)

 

 

 

 

「生産諸力」とは、社会の成員がもつ労働/生産力・行動/組織力・認識/表現力の総合である。生産諸力は、客体たる社会成員から、その能力を分離して主体とみなした概念である。

 

生産諸力がヒトの肉体・立場・意識に投射することで、生産物(身体)・組織体(個人・集団の社会的立場をもつ存在)・表現態(個人的・集合的意識の現実化)たる社会成員となり、その社会成員が多様な生産物・組織体・表現態を生み、生産物・組織体・表現態は統合されて土台・上部構造・意識諸形態となり、土台・上部構造・意識諸形態の編成様式たる「社会構成体」が生まれる。

 

社会構成体は、土台・上部構造・意識諸形態の生産/交通/消費・組織/交流/変革・表現/移動/享受によって生成・発展・消滅する。以上のプロセスのありようは、生産諸力に反射される。

 

ところで生産諸力は、社会の土台・上部構造・意識諸形態がもつ力でもあるから、生産諸力とは、上図の転体たる社会構成体から分離したものでもある。

 

この▽のまんなかで作動し、たえず修正される規範が「生産諸関係」である。

 

こうした社会のトランスのありようは、広義の「生産様式」または「生」「生活」( Leben」と呼べる。両者をあわせて、「生(活)の生産様式」と言えばいいかもしれない。

 

✳マルクスの社会観を統括するキーワードとしての Leben は、20代末に執筆した『ドイツ・イデオロギー』にみられる。

 

 

 

以上の理解をもって、『経済学批判』序言(1859年)の、いわゆる史的唯物論の定式を読み直してみよう。

 

 

「人間は、その生活の社会的生産において、一定の、必然的な、かれらの意志から独立した諸関係を、つまりかれらの物質的生産諸力の一定の発展段階に対応する生産諸関係を、とりむすぶ。」(マルクス(武田隆夫他訳)『経済学批判』序言、岩波文庫版、13頁。太字は引用者)

 

 

ここで「生活の社会的生産」とは、物質の生産だけでなく、人間の組織(家族、企業、国家...)や認識の表現(言語、芸術、デザイン...)を含む「生活」全般の維持・発展のことであり、「物質的生産諸力」とは、じっさいに「生活の社会的生産」を行える(現実に存在する)、土台・上部構造・意識諸形態の労働/生産力・行動/組織力・認識/表現力の総合である。「生産諸関係を、とりむすぶ」とあるのは、いいかえれば、生産諸力が依拠する規範が「生産諸関係」だということである。

 

定式はいう。

 

 

「社会の物質的生産諸力は、その発展がある段階にたっすると、いままでそれ[生産諸力]がそのなかで動いてきた既存の生産諸関係、あるいはその法的表現にすぎない所有諸関係と矛盾するようになる。これらの[生産]諸関係は、生産諸力の発展諸形態からその桎梏へと一変する。このとき社会革命の時期がはじまるのである。」(マルクス『経済学批判』序言、同上、13頁。太字は引用者)

 

 

ここで、「それ[生産諸力]がそのなかで動いてきた既存の生産諸関係」という表現は、生産諸関係が上記の ▽ をとりしきり、生産諸力の規範となっていることを指している。社会構成体の移行とは、生産諸力の運動による生産諸関係すなわち社会規範の取り替えであり、生産様式の交替である。

 

国家は社会構成体の中核である。国家権力となる組織的行動力が人間を客体にして行動し、人間は法的規範を通して国家へと編成される。

 

上記の▽とその変動が、基本的な歴史観(いわゆる史的唯物論)となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:03 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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