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権力とは、成員を選定し、その行動規範を決定して社会を統合する指導力

権力とは何か、ということについて、政治学の滝村隆一氏は、

 

「規範にもとづく支配力」(『国家論大綱』第一巻上、302頁)

 

だと規定している。機能や制度や人格のレベルで権力を理解せず、観念的な規範のレベルでとらえたところが優れている。権力は、本質的には観念的な事象だからである。

 

だが、もともと規範とは、観念的支配力として作動する観念である。権力とは何かという問いにたいする答えとして、「規範にもとづいた観念的な支配力」だというのは、権力の特性を十分とらえていないという印象が残る。

 

権力の定義は、むしろ

 

「組織成員を選別し、成員の行動規範を決定して、社会を統合する指導力」 

 

というほうが明確ではないかと思う。

 

権力は、成員の離脱や加入を判断する権限を握っている。国家権力とほかの権力とのちがいは、その組織である国家からの離脱や他の国家への加入が、個人の自由意志ではそうとうに困難であり、ときに個人の意志をまったく認めないところにある。

 

また、権力は個々の成員が抱く規範よりも上位の規範である。すなわち、一人一人がどんな規範をもっていようが、否応なしに行動させる<規範の規範>(社則、法律、方針、目標など)を決定し、それによって成員の行動を指導し組織できる力である。指導力を裏づける手段として、権力は賞罰権ももっている。

 

ここでのポイントは、権力が作動する組織では、直接には行動が問題にされるということである。私的な会話などは、個人の精神レベルの事象(意識形態)である。むろん、こうした私的な意識形態を、組織の指導力にかかわる行動の一種と権力がとらえることはありうる。

 

成員の行動規範の決定に、なるだけ多くの成員を形式的にせよ参加させて「手続き的正義」を確保し、権力の指導力を増す。これが会議や選挙などの民主主義的手段の意味である。

 

 

 

歴史は権力現象に満ちているから、権力の概念はトランス・ヒストリーにとっても根幹的である。

 

権力とはなにか。その概念内容は、こうしたところがおさえどころのように思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:01 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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