ごきげんようチャンネル



春ごとの花に心をなぐさめて 六十(むそぢ)あまりの年を経にける


西行

<< 吉田松蔭とイエス 鎮魂を必要とした若者の激情 | main | 定住革命という人類史のポイント 「交通」概念の洗練を >>
西郷隆盛の「敬天愛人」 意志と現実の矛盾を心内で解消した四文字

歴史では、上部構造の意志と、社会の現実とのあいだのギャップをみることは重要である。

 

たとえば班田収授の法は、当時の国家権力の意志であって、そのまま社会の現実ではない。意志と現実を混同せずに区別することによって、その社会の状況や、事のなりゆきが理解しやすくなる。

 

西郷隆盛は、幕府を倒したあと、近代国家づくりを担当する。みずから武士の出身であり、武士に依拠して政権を握りながら、今度は武士を没落させる役割を果たすことになった。

 

明治国家の意志と、旧制度が残した現実。このふたつの乖離が、西郷という一人の人物のなかでぶつかりあった。

 

西郷の座右の銘「敬天愛人」は、自分の行動を死を覚悟したものとするかわりに、自分の行動を「天意」として正当化するロジックであった(町田明広『西郷隆盛 その伝説と実像』2018年、NHK出版、73頁)。

 

それは、国家権力の意志と社会の現実の矛盾を、個人の心理レベルで処理するための四文字であった。

 

倒幕の前、沖永良部島での流罪生活で彼がこの言葉を獲得しなかったら、時代が与えた過酷な責務に彼が耐えられたかどうか。

 

この矛盾は、西郷個人にとっては、西南戦争での敗北と自決というかたちで解消された。日本社会にとっては、西南戦争によって旧身分制の廃止が決定的となることで、解決された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 05:30 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









http://soundsteps.jugem.jp/trackback/4341
#誰が書いてるの?
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< May 2018 >>
-->
#新しい記事
#過去の記事
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人
敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人 (JUGEMレビュー »)
ジョン ダワー, John W. Dower, 三浦 陽一, 高杉 忠明
#著書/共著
敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人
敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人 (JUGEMレビュー »)
ジョン ダワー, John W. Dower, 三浦 陽一, 田代 泰子, 高杉 忠明
#コメント
#トラックバック