ごきげんようチャンネル


あきらけき かがみにあへば すぎにしも いまゆくすゑの こともみえけり

         大鏡


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多重自己の世界をつくる

人間が生きているということ。それは「自己分裂」(三浦つとむ)つまり自分から自己が分離するということである。

 

いったん自分から自己が分離すると、自己から自己’ が分離するし、自己’ から自己’’ が分離することもできる。

 

たとえば、小説家の自己は、自分の意識のなかに主人公自己’ を見出す。この主人公 が " I'II kill him." とつぶやいたとき、この”I”は、主人公自己’から分離した自己’’ である。

 

自己は、自分ではないものを自己’ にすることもできる。絵画のなかのリンゴを自己’ とし、周囲のテーブルや皿を自己’’ として、画面を構成できる。

 

絵画が華やかな世界をつくれるのは、画家の自己が画面のなかにいくつもの自己’を配置し、他のものを自己’’ とする多重構成をとれるからである。すぐれた小説家の自己も、何人もの登場人物を自己’ として作品に配置し、他の登場人物を自己'' として、複雑に関係させる。

 

何重もの自己分裂。これが人間を人間たらしめているものであり、これを活用する力が、その人の力量である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の哲学 世界はトランスする | 00:00 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
そうでしたか。教えていただいた文献、私も見て見ます。
| みうら | 2018/04/07 7:24 PM |
解離性同一性障害(いわゆる多重人格)はこの自己分裂が固定化した異常現象で、正常な自己分裂があって初めて異常が生じるといわなければなりません。

言語学者はこうした事実を無視し、野村剛史「助動詞とは何か--その批判的再検討」(http://db3.ninjal.ac.jp/SJL/getpdf.php?number=1650380520)では、

 三浦の助動詞論にはもう一つ、「観念的自己分裂」の理論が付きまとっている。本稿は一般的にはこの理論を否定するつもりはないが、助動詞論としては例えば「過去」の助動詞などに関して、「現在の自分が過去を覗き見てまた現在に帰ってくる」というが如き構造は到底現実に起こり得るものとは思われないので、ここでは触れないこととする。

などと理解を拒否し、時制論を現象的に論じ行きづまっているのが現状です。

『テンス』〔バーナード コムリー (著), Bernard Comrie (原著), 久保 修三 (翻訳)〕の「直示(Deixis)」も同様の状況です。
| YAGURUMA"剣之助" | 2018/04/07 5:52 PM |









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