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あきらけき かがみにあへば すぎにしも いまゆくすゑの こともみえけり

         大鏡


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概念でつかめば共時態(ソシュール)の世界に入れる

ある言語の世界にすっぽり入る経験のことを、ソシュールは「共時態」と呼び、こう説明している。

 

 


「言語事象を研究してまず驚くことは、話し手にとって言語の歴史性 [通時態] は無関係だということである。それゆえ、この状態を理解しようと思う言語学者は、通時態を無視しなければならない。共時態は一つの視点、すなわち話し手の視点しか知らない。」(ソシュール『一般言語学講義』。ただし森田伸子『文字の経験』243ー244頁より要約して引用)

 

 


さすがソシュール先生、表現が非凡である。言語を体験するには、「話す主体の意識の中に入る」ことが必要だと(同上書243頁)。

だがそれは、多くの人にとってなかなかむずかしい。どうしてソシュール先生にはそれができたのか。

 

私の答え。そのコツのひとつは、表現体のむこうの概念をつかむこと。そのことに集中することである。それを母語でいえばどうなるかといったことは、概念をつかむのに役立つが、あくまで副次的なことである。概念そのものには音も形もない。概念に没入することだ。

 

たしか荻生徂徠は、中国の漢文をそのまま眺めて、古人の心に直入する読みが理想だというようなことを述べた。漢字が喚起する音も形も超えて、純粋な概念として古代人の文意をつかみたいということだろう。徂徠先生は、日本のソシュールであったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の文法 トランス・グラマー | 00:05 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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