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         大鏡


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資本主義世界の近代と現代

資本主義という土台(生産物生産の編成力と成果)は、一国の領土内にある資源(人間を含む)を超えて、超国家的範囲の資源(人間を含む)をとりこもうとする強い衝動をもっている。

 

こうした土台の拡張衝動は、属性たる上部構造すなわち国家機構の運動をうながす。ただし、実体の属性がひとつとは限らないように、同種の土台でも何種もの上部構造がありうるし、同じ上部構造でも運動の方向は多様でありうる。

 

1950年頃までの200年間は、いち早く近代国家化=領土内資源(人間を含む)の統合をなしとげ、強力な軍事力を背景にした少数の国家(「列強」)が他の国家を植民地にする形式で、資本という土台の拡張が行われた(近代資本主義)。

 

それ以降は、植民地化という形式ではなく、それぞれの地域の支配的ナショナリズムを認許する形式に変化した。これはそれぞれの上部構造(国家権力)の形式的独立を許容したもので、近代国家原理の国際化である(現代資本主義)。

 

このような、土台の新しい拡張の形式を主導した上部構造は、アメリカとソ連であった。<資本主義 対 社会主義>という意識諸形態上の対立が、いまや土台および上部構造の対立となってグローバル化し、事態は複雑に展開した。核兵器を最前線にした、ふたつの意識形態の対峙というこの時期の国際上部構造の特徴を、「冷戦」と呼ぶ。

 

「冷戦」という国際上部構造は数十年前に溶解し、その後の世界は、「秩序」ある運営を主導する国家を喪失しつつある。じっさい、すでに資本にとっては、国家という上部構造による「秩序」が、むしろ邪魔になる局面が増えていく。ここに、国家自身がみずからの支配力を弱めるかのような、「国家規制の緩和」が進行する。

 

今も、一国の統合的な資源運営を期待されている上部構造は、国家機構である。だが、どの国家機構も資本が買収済みであり、近代国家に導入された選挙制度や政治機構は、「民主主義」の理念通りには機能していない。

 

<資本と国家>という<土台と上部構造>を超える世界運営の方式、およびそれを先導する意識形態は、まだ見つかっていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:01 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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