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あきらけき かがみにあへば すぎにしも いまゆくすゑの こともみえけり

         大鏡


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「信号が赤だ」 言語世界は現実世界から独立している

私もそうなのだが、言語について説明しようとすると、つい目の前にある物を指して説明したくなる。教室なら、ペンや黒板消しを手に持ち、それを示しながら説明したりする。

 

ところが、日常生活では、自分の目の前の物や出来事を対象にして語ることは、意外に少ない。予定とか予想とか、過去の出来事とか、仮定の話とか、怒りや喜びのような内心の感情のように、現在目に見えること以外のことを語る機会が多い。

 

しかも、「信号が赤だ」というような、目の前の現実を語っているように見えるときも、言語じたいは、その現実を直接語っているのではない。

 

現実に信号があろうがなかろうが、「信号が赤だ」は、それ自体で言語として成立している。「信号が赤だ」は、視覚によって得た自分の意識を直接語っている場合もあるが、「信号が赤い」という体外の現実は、言語にとっては間接的な事情に過ぎず、必ずしも実在する必要はない。

 

言語表現の直接の対象は、体外の実在物ではなく、体内の自分の意識である。言語は、体外の現実とは五感を通して間接的につながっているだけである。

 

この事実を明瞭に理解することは、人間にとって難しい。

 

最新の言語学と思われている認知言語学でさえ、人間の知覚から出発しているために、体外の現実が言語の直接の基盤であるかのようにイメージする傾向がある。だから認知言語学は、認知を超越した抽象的概念に目を向ける姿勢に乏しく、言語が現実を超越する驚異的な力の前に、無力である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の文法 トランス・グラマー | 00:00 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
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| - | 2017/11/04 10:46 AM |









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