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         大鏡


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土台=物質的条件と上部構造=非物質的条件のうえに、人間は意識諸形態=生活をつくる マルクス「ブリュメール18日」より

マルクスの「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」に、土台と上部構造の関係についての記述がある。いわゆる「史的唯物論の公式」(経済学批判序説)とあわせて、参考にすべき部分である。

 

 

 

「正統王朝派とオルレアン派... これら二分派を分けていたのは、いわゆる原理ではなく、両者の物質的な生存条件、つまり二つの異なる所有様式だった。古くからの都市と田舎の対立、資本と土地所有との対抗関係だったのである。

 

同時にまた、古い思い出、個人的な反目、不安や期待、偏見や思い違い、共感や反感、信念や信条や原理などが、彼らをどちらかの王家に結びつけたことも否定できまい。

 

所有の、社会的生存条件の、さまざまな形態の上に、さまざまな、独特に形成された感情や、思い違いや、考え方や、人生観から成る一大上部構造がそびえている。

 

一階級全体が、これら [上部構造の構成要素] を、自らの物質的な基盤と、この基盤に対応する社会的境遇からつくりだし、形成するのだ。

 

これら [上部構造の構成要素] は伝統や教育を通じて個々人に流れこんでいくので、個々人は、これら [上部構造の構成要素] が自分の行動を決める本当の動機であり、その起点であると思い込むのである。...

 

私生活では、ある人が自分のことをどう考えどう言うかと、その人が実際どのような人で何をするのかが区別されるのだから、歴史的な闘争ではなおさらのこと、政党のうたい文句や思い込みを、それの実際の体質や実際の利害と区別し、それのイメージを、実態と区別しなくてはならない。...

 

イギリスのトーリー党が長いこと、王制や、教会や、古いイギリスの制度の美点に心酔していると思いこんでいたところ、いざ危なくなると、自分たちが心酔していたのは地代にすぎなかったことを白状せざるをえなかったのと同じである。」

 

 

(マルクス「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」、筑摩書房マルクスコレクションIII、38-39頁。太字は引用者)

 

 

 

 

ここでマルクスは、個々人の感情、意識を「上部構造」と呼んでいる。だが私はむしろ、経済学批判序説の用法にならって、政治的法律的に規定された全社会的な編成の具体的形態(国家や憲法など)のほうを「上部構造」と呼ぶことにしたい。個々人の感情、意識の表れは、上部構造というより「意識諸形態」ということになる。

 

すると、上記のマルクスの文が述べているのは、土台は人間の物質的生存条件であり、上部構造は人間の非物質的行動条件であって、個々人はこの二大条件のなかで生活 Leben する、つまり意識諸形態をつくるということである。

 

社会全体がもつ既存の物質的条件(土台)と非物質的条件(上部構造)を、個人や組織が無視したり修正することは、簡単にはできない。むしろ、土台と上部構造は、意識諸形態が展開するための二大条件となる。

 

社会の物質的条件と非物質的条件に規定されながら、当の物質的条件と非物質的条件の全体を変革しようとする活動、つまり社会が社会自身の条件を改変しようとする特殊な意識諸形態(政治家・政党の言動、マスコミの社説、民衆の暴動、デモなど)は、「政治」と呼ばれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

      湯島聖堂  東京

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 05:08 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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