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 魚、水を行くに、行けども際なし  道元『正法眼蔵』



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英語には英語の身体意識がある それはピアノの練習と同じ

英語を流暢に発音するのは、意外にむずかしい。

 

学生の発音を聞いていると、単語と単語のあいだで休みをとるクセがある場合がある。ひとつひとつの音素の発音は悪くないが、単語ごとに区切ってしまうので、音の流れに滑らかさがない。

 

私の場合、次のような説明をする。

 

 

 

言語の語りには、<息、声、音>の三つのレベルがある。

 

基本は、最初の「息」の仕方にある。英語では一定の力で連続して息を出し続ける。鉄道でいえば、電車は止まることがあっても、線路は途切れないのに似ている。

 

単語ごとに区切るクセをなくすには、息を出しつづける練習をするのがいいが、もうひとつ役立つのは、単語をひとつずつ拾うのではなく、意味のまとまりごとに、いくつかの単語をひとつのフレーズとみなして、「一気に旅をする」ような意識をもつことである。ひとつひとつの駅で停車するのではなく、目標の駅まで、いくつもの駅をスーっと通過していく。普通電車より快速電車、といったところか。

 

このフレーズ感覚は、言語を言語として話すコツである。

 

 

 

ピアノの練習方法に、「先取りの身体意識を作れ」というのがある(ジャン・ファシナ(江原・栗原訳)『若いピアニストへの手紙』音楽之友社、2004年、34頁)。

 

この場合、「身体意識」とは、身体じたいが意識をもつことをいう。ピアノでは、身体が無意識に動作するように、意識的に練習するのである。すると、先の時点までの動作を身体が先取りするようになる。

 

こうなると、動作じたいは無意識にできるので、人に思考の余裕が生まれる。

 

英語を日本のわらべ唄のように区切って発音するのも、「発音を身体にまかせる」には違いない。だが、それでは日本語の身体意識にとどまってしまい、英語を練習したことにはならない。

 

ピアノをやるならピアノの身体意識が必要なように、英語をやるなら英語の身体意識を作りあげることだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 日本に英語はない | 00:00 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
コメントありがとうございます。沈黙からの教育というのは、なかなかの着眼ですね。禅のようなものも思い出します。私も考えてみます。
| みうら | 2017/10/02 5:27 PM |
記憶に残る短文の書き方で、とても面白く読んでいます。

発語からの教育のヒントを書かれていて興味深いのですが、発語以前からの教育をされている教師はおられるのでしょうか。

声を出すというのは、沈黙を破ることで、鳴かずばキジも撃たれまいと、いうように。

ですから沈黙を手放すことで、発語が可能となります。声を出すことは、確実に黙っていることの断念です。

発語からではなく、沈黙からの教育があってもいいのかなって思った次第です。
| 北鎌倉 | 2017/10/02 9:51 AM |









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