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この本は買うな 『外国人力士はなぜ日本語がうまいのか』
ときめき 以前から読もうかなと思っていた本を読んでみた。

宮崎里司『外国人力士はなぜ日本語がうまいのか あなたに役立つ「ことばの習得」のコツ』(明治書院、2001年3月、1300円

「外国人力士はなぜ日本語がうまいのか」。ツカミはOKだ。みんなの疑問をうまく表現している。しかし、そのあとがいただけない。

外国人力士は、来日するとおかみさん、親方、兄弟子、番付表、床山さん、付き人、タニマチ、近所の人、ファンに囲まれて「24時間日本語学習モード」になっている。つまり、最近の外国語習得法でいう「イマージョン(外国語漬け)プログラム」そのものの生活であり、「非常に理想的な環境」にあるからだ、というのが結論(178頁)。

正直いって、感想は、「…………」だ。

日本にきた外国人力士が「日本語漬け」になるというのは誰でもわかることにすぎず、それが「外国語上達のコツ」だと言われても、拍子抜けである。

「だから、われわれ日本人が外国語に上達したかったら、自分で工夫して外国語漬けにしましょう」というのがこの本の「提案」なのだが、そんなことができるなら、はじめから苦労なんかしない。

著者は早稲田大の日本語教師だが、この本には、外国人力士が日本語に上達する真因の追求もなければ、言語に関する新しい洞察もない。

ただひとつ、ちょっとおもしろかったのは、「番付が上がるとつきあいが豊富になるので、外国人力士の日本語はますます上達する」=「番付と日本語能力は比例する」という指摘だ(35、197頁)。だが、これも考えてみれば、至極当然のことを言ったにすぎない。

なぜアメリカに留学した日本人の英語は、日本に来た外国人力士の日本語ほど流暢にならないのか。それは「イマージョン(外国語漬け)」の程度の違いだけなのか。

なぜ、力士の稽古という問答無用の肉体運動と、「もっとおっつけろ!」「引くな!押せ!といった厳しい指導の日本語音声との密接な関連といった、力士に特有の要因を追求しようとしないのか。

言語を研究しているというなら、もっと本気でやったらどうだ。くもり

※この本は買わないこと。



| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | この本は買うな!見かけ倒し本を切る | 00:00 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
 来日数年の外国人力士がネイティブのような発音でインタビューに答えるのを見て不思議に思い、携帯で「なぜ外国人力士は日本語がうまいのか」を検索中にご意見を拝見しました。件の宮崎さんの著者、中身がご指摘の通りなら値打ちがありませんね。それくらいなら想像だけで書けるよ、みたいな…。ただ、携帯サイトではこれといった答が見つかりませんでした(宮崎さんの著者を読んで謎が解けた、という感想が多いのには笑えました)。真実を知るには来日したての力士の生活に密着して数年過ごすしかないのでしょうか?
| 切捨見事 | 2013/05/26 10:34 PM |









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