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         大鏡


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「魚、水を行くに、行けども水の際なし」(道元・正法眼蔵)

魚、水を行くに、行けども水の際なし
 

 

道元の正法眼蔵に出てくる、私の好きな言葉。

 

池のコイは、限られた境界のなかで一生を送る。外から見ていると、ずいぶん不自由のように見える。だが、コイから見れば、行けども行けども水がある。コイは自由なのだ。

 

厳格な修行は、不自由なのではない。戒律があるからこそ、そこに自由がある。それが道元の言いたかったことかもしれない。

 

だが、別の解釈もできる。

 

コイから見れば、行けども行けども水がある。ゆえに、自分が小さな池の中にいることをコイは知らない、と。

 

ひとつの世界にいつづけると、もっぱらそこからものを見るようになってしまう。人間は、とかく狭い了見におちいりがちだと、戒めた言葉ともとれるのだ。

 

この言葉の面白さは、池の外から見ている目線と泳ぐコイから見た目線という、二つの異なる観点が、簡潔な表現のなかに織り込まれているところだ。

 

どこにでも自由はあること、しかし自由とばかり思っていると、自分の狭さに気づかない危険もあること。

 

それが人間というものだというのが、道元の真意なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 哲学は終わった | 00:01 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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