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         大鏡


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マルクス永遠の誤読 『経済学批判要綱』序説の場合 その1

マルクスが残したメモである『経済学批判要綱』の「序説」(執筆1857年。マルクス39歳)には、何種類かの日本語訳があるが、いずれの訳についても、私は疑問をもっている。

 

たとえば、比較的最近の、筑摩書房版の訳の冒頭部分は、こうなっている。

 

 

 

 

「(1)生産

 

(a)当面の対象は、まず物質的生産(である)。

 

社会のなかで生産する諸個人 ー したがって諸個人の手でなされる社会的に規定された生産こそが、当然ながら出発点である。」

 

(筑摩書房マルクスコレクションIII、2005年刊、142頁より。太字は引用者。以下、「筑摩版」と呼ぶ)

 

 

 

違和感があるのは、太字にした部分である。もうひとつの例として、岩波文庫版(初版1956年)では、

 

 

 

「一 生産

 

a) ここでとりあつかう対象は、まず物質的生産である。

 

社会で生産をおこなっている個々人、したがって個々人の社会的に規定されている生産が、いうまでもなく出発点である。」(287頁。太字は引用者)

 

 

 

となっている。大月書店版や新日本出版社版でも、「個々人...生産」といった訳になっている。

 

 

参考のため、この部分の英訳を探してみると、次のような例がある。

 

 

 

1. PRODUCTION 

   

 

 

a) To begin with, the object before us is material production. 
   

 

Individuals producing in society -- and hence socially determined production by individuals -- is of course the point of departure. 

 

 

(http://www.marx2mao.com/M&E/PI.html#intro  太字は引用者)

 

 

 

 

 

ここでは明確に、「個々人による生産 production by individuals」となっている。 "Produktion der Individuen" を、冒頭に引用した筑摩版が「個々人の手による生産」と訳したのは、<個々人生産する>という意味であることを明確にしようとしたからであろう。おそらく現行の日本語訳はすべて、この英訳と同じく、もっぱら<個々人生産する>という意味に理解したうえでの訳のように思われる。

 

 

 

さて、肝心のマルクスの原文は、次のようになっている。

 

 

 

 

 

1. Produktion

 

a) Der vorliegende Gegenstand zunächst die materielle Produktion.

 

 

In Gesellschaft produzierende Individuen - daher gesellschaftlich bestimmte Produktion der Individuen ist natürlich der Ausgangspunkt.

 

 

(http://www.mlwerke.de/me/me13/me13_615.htm#Kap_1 太字は引用者)

 

 

 

原文は、 "Produktion der Individuen" である。これをどう理解するか。

 

 

 

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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