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黒澤明の「トラトラトラ!」  明るい真珠湾の悲惨
グッド できるだけ映画を見よう。たくさんの人間の力を集めた夢の世界だもんな。

と思って、「トラトラトラ! TORA!TORA!TORA! THE ATTACK ON PEARL HARBOR」を買ってみた。有名だけど、まだ見てなかった。

1970年の作品というから、もう30年以上前のもの。特殊撮影のシーンなんか、相当ちゃっちいのでは? と思ったけれど、これが見事にハズレ。今見てもリアルで、ゼロ戦の戦隊が飛行するシーンとか、真珠湾の攻撃シーンとか、本物を使っているようにしか見えない。

英語版で見たが、日本もアメリカも、軍人さんたちが似た声、似た話し方をしている。とくにアメリカの軍人たちは、みな低い声でバリトン歌手のように話す。昔のアメリカ映画の男性はこういう声が多いね。そういえば、フランクリン・ローズベルト大統領なんかは、低い声の代表みたいな声だった。でもいまでは、クリントンみたいなちょっと高めの声でも大統領になれる。歩き方にも時代性があるように(たとえば江戸時代のなんば歩き)、声にも時代性がある。ヒトは互いに「なりこむ」から、身体の基本的な「さばき方」が似てくるのだ。

それともうひとつ、あらためて思ったのは、真珠湾攻撃は現地の朝8時ころ、つまり夜明けではなく、すっかり明るくなってから行われたということ。「真珠湾は眠っていた」のではなく、米艦船上では星条旗の掲揚が行われ、すっかり一日がはじまる時間だった。

ほとんど白昼のように明るい時間に攻撃をはじめた日本軍の行為は、「堂々とした卑怯」というか、「明朗な悲惨」というか、なんとも妙な感じがする。

ところで、このDVDにはとても長い付録のインタビューがついていて、はじめ、日本側監督は黒澤明だったという話を、アメリカ側監督がしている(そのあと黒澤にかわって深作欣二が担当)。

なぜ黒澤が降りたかというと、いったん撮影をはじめると、黒澤は画像に映る図書館の本から1941年以降の本を全部どけさせたり、部屋の壁の色が気に入らないので一日がかりで塗りなおさせた。

異常なほど細部にこだわる「天才クロサワ」のやり方を聞いたアメリカ側は、費用やスケジュールに不安を抱いたらしい。そもそも、黒澤が最初に用意したシナリオは400ページもあり、とても使えなかったとか。黒澤は、アメリカ側の不安の声を聞くと、自分のやり方にケチがついたと思ったのか、あっさり降板してしまった。

黒澤監督の凝り性がわかる話だが、もしも黒澤作品のリストに「トラトラトラ!」があったら? と考えると、黒澤映画のイメージも少し変わりそうな気がする。ハンバーガー


| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 歴史とは何か | 09:38 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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