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進化と進歩はどうちがうか 規範を変えて進歩するという人間の知恵

ダーウィンは、1838年10月、マルサス『人口論』を読んだとき、生物の進化において“struggle for existence”(生存闘争)がもつ重要性を認識したと書いている(種の起原、自伝)。

 

これを人間の社会にあてはめて、個体や民族のあいだの「生存闘争」を正当化する発想を、「社会ダーウィニズム」というが、これは生物と人間のちがいを無視した俗論にすぎない。

 

生存闘争とは、言い換えると「試行錯誤 trial and error」である。

 

生物が試行錯誤を通じて変化させているのは無意識的な「習性」であるが、人間が試行錯誤によって互いのちがいをすりあわせ、変化させるのは、観念的な「規範」である。

 

生物の個体どうしの「闘争」は、人間でいえば、規範どうしが試行錯誤によって社会的にせめぎあうことにあたる。

 

人間の認識や行為にはバリエーションがあり、どれがいちばん良いかは、観念の内部で決めることはできない。だから社会的に試行錯誤して真実性を確かめていくしかない。

 

その試行錯誤は、暴力や戦争である必要はない。相手を侮辱したり疲弊させる必要もない。いちばんいいのは、それぞれが自分自身について試行錯誤して、「実例の力 the power of example」を他者に示す。これによって規範の洗練=進歩に貢献することである。

 

マザーテレサの献身やガンジーの非暴力は、「実例の力」の実例である。

 

生物は進化するが、人間は進歩する。

 

進歩は進化よりもスピードが早い。そして進歩の途上では、原爆や原発のように、取り返しのつかない誤りを犯すこともある。

 

そして誤りは、ある意味で好機でもある。誤りの後始末をきちんとすることで、次の進歩は保証されるからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | よみがえる史的唯物論 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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