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「影」としての言語 その1
加藤健司ほか『神道の美術』(平凡社、2012年)の巻頭解説によると、古い時代の神観念は「影」と関係があったという。


たとえば万葉集に、鏡に映った影が人の真心を映すとか、カミは影となって顕現するという古代人の感覚がうかがえる歌がある。8頁。

仁和寺には、八幡神の顕現を壁に映った人型の影で表した絵が伝わっている(八幡神影向(えいごう)図。同書、12, 40頁)


おもしろいのは竹取物語の例で、美女のかぐや姫を、帝が強引に連れ去ろうとすると、「きと影になりぬ」(ふっと突然、影になってしまった)という。同書8頁。

かぐや姫がこの世の人間ではなく、ほんとうは異世界の存在=影であることが示された瞬間である。

帝は、「げにただ人にはあらざりけり」と驚き、何もしないから元にもどってくれと頼む。すると、「かぐや姫もとのかたちになりぬ」。



ここでは、影こそが真の姿であって、かぐや姫の身体は「かたち」すなわち仮の姿にすぎないという、観念的な転倒が行われている。




神こそが実体で、この世は神の意向にもとづく現象にすぎないというのは、宗教的観念の典型である。



<自然を動かしているものは目に見えない。それが神である。ゆらめく物影は、しばらく目に見えては消えていく。そうだ。影は、見えない神が一瞬、姿を現したのだ。>



神の観念は、そのように感じる体験からきたのかもしれない。







(つづく)









 
| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 言語の資本論を書く | 21:41 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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