ごきげんようチャンネル

あなたがたは、終わりの時にいるのに、なお宝をたくわえている。
        ヤコブの手紙 5:3    

<< ソシュールの「恣意性」徹底批判 補遺  池上嘉彦氏の指摘から その4 | main | マンデラ氏葬儀のエアポケット奇人 >>
ソシュールの「恣意性」徹底批判 補遺  池上嘉彦氏の指摘から おわり
現代の言語学は、ソシュールの恣意性から脱却しようともがき、妥当な<落し所>を模索している、といったところなのであろう。


こうした模索の背後には、一種の恐怖感があるように思われる。


人間の認識(言語)は、恣意性にせよ認知構造にせよ、その中間にせよ、どうにも不定形でとらえがたいものであるか、逆にあらかじめ運命づけられているか、つまりは理解しがたいものであるか不自由であるか、そのいずれかではないかという恐怖感である。







突然のようだが、ここで私が思い出すのは、道元の正法眼蔵に出てくる「魚と水」のたとえ話である。



「魚、水を行くに、行けども水の際なし。」



池のコイは、限られた境界のなかで一生を送る。外から見ていると、ずいぶん不自由のようにも見える。

ならばコイは、池のなかで不自由であるか?

否。

コイから見れば、行けども行けども水がある。








現代の言語学は、池の外からコイを見ているにすぎない。

そこに欠けているのは、ほんとうに言語を話している実践的人間(池のコイ)からみた視線である。

いわば魚眼の必要性であるが、人間がコイとちがうのは、人間は自己を分裂させて、現実の時空と時空の現実を超えて観念的に活動し、疑似現実すなわち表現の世界を作る能力(思考の自由)をもっていることである。




いまの言語学者は、池の回りをぐるぐる歩いて、もっぱらコイを観察する人である。

そして、この永遠の散策者は、池のコイがつくった幻想なのである!








(おわり)









 
| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 言語の資本論を書く | 08:11 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
そうですね。私も微力ながら、できるだけやってみるつもりです。
| みうら | 2013/12/13 7:52 PM |
 形式論理の限界
 
「人間は自己を分裂させて、現実の時空と時空の現実を超えて観念的に活動し、疑似現実すなわち表現の世界を作る能力(思考の自由)をもっている」という認識は、形式論理(形而上学)からは矛盾、観念論的思考と見なすしかなく、誤謬とされてしまいます。それを回避するための形式論理的な辻褄合わせ=現象論、形式論、機能論が「永遠の模索」となるのは論理的必然の結果というしかありません。

時枝誠記―三浦つとむ、による言語過程説という本質的な言語論が受容、理解されるためには、西欧のキリスト教単性社会の形式論理を絶対視し、欧米学説に拝跪している明治以来のアカデミズムが真実に目覚めるしかありません。そして、言語過程説を欧米に提起できるのが理想です。

形式論理の限界から米欧が経済的、文化的衰退へと向かおうとする現在、それに追随することなく本質的な言語論を提起していく意義は限りなく大きなものと考えます。■
 
| YAGURUMA"剣之助" | 2013/12/13 10:26 AM |









http://soundsteps.jugem.jp/trackback/3652
#誰が書いてるの?
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< April 2017 >>
-->
#新しい記事
#過去の記事
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人
敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人 (JUGEMレビュー »)
ジョン ダワー, John W. Dower, 三浦 陽一, 高杉 忠明
#著書/共著
敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人
敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人 (JUGEMレビュー »)
ジョン ダワー, John W. Dower, 三浦 陽一, 田代 泰子, 高杉 忠明
#コメント
  • 五木寛之氏の「暗愁」
    Yasuyuki Koyanagi (03/31)
  • 同時通訳・達人のつぶやき 「道遠し」問題について その1
    ぽっこり (11/07)
  • この本は買うな! 東大の『教養英語読本』を切る おわり
    雪 (04/24)
  • <言葉>や<心>は社会行為であって、脳の産物ではない  生成文法という現代病について
    YAGURUMA"剣之助" (12/29)
  • ソシュールの「恣意性」徹底批判 補遺  池上嘉彦氏の指摘から その4
    YAGURUMA"剣之助" (12/13)
  • ソシュールの「恣意性」徹底批判 補遺  池上嘉彦氏の指摘から おわり
    みうら (12/13)
  • ソシュールの「恣意性」徹底批判 補遺  池上嘉彦氏の指摘から おわり
    YAGURUMA"剣之助" (12/13)
  • ソシュールの「恣意性」徹底批判 おわり
    YAGURUMA"剣之助" (12/12)
  • 森鴎外「かのように」から
    一市民 (12/05)
  • government of the people, by the people, for the people - ゲティスバーグ演説の意味について おわり
    小林 宏 (12/05)
#トラックバック