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         大鏡


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この本は買うな! 東大の『教養英語読本』を切る その6
さて、「まえがき」のあと、本書には十編の英文エッセイが集められている。
学生はこれを順次読むわけだが、こちらにも私は不安を感じる。
これらの英文の内容については、人によって評価が分かれるだろうし、じっさいの授業では英文に合致したビデオも併用するらしいので、教科書としての価値はかんたんには判断できない。
ただ、「ほんとうにこれは大学生の英語教科書にふさわしいか?」と考えたとき、私は次のような点に不安を感じる。
◯ 英文の筆者が英米圏に偏っているようにみえる。日本のことがテーマになっている文はない。
◯ 紙面のイメージが良くない。行間が狭くてせせこましく、活字にも魅力が不足しているように感じる。
◯ カラー写真や図表やイラストが豊富なのは良いが、いずれもサイズが小さく、息苦しい感じもある。
◯ 右ページに編者が注釈をつけているが、半端な感じで、「教養」としての魅力を感じにくい。このような細かい注釈が必要であることじたい、本文が特殊でわずらわしい内容であることを示唆しているように感じる。
◯ 文中に、人名をはじめとして、読み方がわかりにくい多数の固有名詞が出てくる。現実の英文にもこういうことは多いが、教室でみんなで読むのだから、「発音はいいかげんでよい」と勧めるかのような素材は、あまり良くないと思う。
◯ ざっと見たところ、雰囲気があって透明なエッセイというより、ゴタゴタした描写、わずらわしい内容のものが多いように感じる。文体に香りがなく、真似して書いてみたくなるような魅力に乏しい。
◯ 詩がひとつもない。歌詞もない。
総じて、ページを開いた瞬間に消耗感が立ち上る感じがある。
「こんなものを読まされるの? これをわざわざ英語で読む価値があるの?」
といった徒労感である。
教科書なので、疑問を抱かずにとにかく読むとしても、この本に、ある種のうっとおしさを感じる学生はかなりいるのではないか。
(つづく)
| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | この本は買うな!見かけ倒し本を切る | 04:57 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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