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         大鏡


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交通ルールと車の機能 カテゴリーの錯誤としての生成文法 おわり
「交通ルールは車の機能である」


というと、どことなくおかしいことに気づくが、少し変えて、



「車はたいてい交通ルールを守る」



というと、そうおかしくない感じがする。

じつは、この言い方には、はじめにあげた



「バナナはたいてい無神論者である」



という命題に似た錯誤がふくまれているのだが、人はなかなかそこに気づかない。

そのため、



「車が交通ルールを守る仕組みを明らかにしよう!

交通ルールを調べれば、車の根本的機能が明らかになる。

こんなアプローチはこれまでなかった。

これこそ真の科学だ!」



と言われると、その気になる人もでてきた。

こうして生成文法の<科学の国>では、ドライバーなし、目的地なしの車が走っている。

この不思議な光景にひかれて、世の才能が集まった。

車(脳)の根本的機能を明らかにすることを夢見ながら、交通ルール(言語規範)を徹底的に議論する人たちである。

以来、半世紀がたった。

それで、ドライバー不在の交通ルールに関する彼らの徹底的な議論が、車の機能の解明にどう役立ったのか。それはよくわからない。

しかし、それでいいのだ。

車の機能が解明されようとされまいと、<科学の国>ではドライバーがいない不思議な車が、目的地も知らずにまだ走っている。

だから彼らは、この車の素晴らしいメカニズムにわくわくしながら、交通ルールを議論していれば幸福なのだ。










(おわり)










| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 生成文法は消滅する | 07:15 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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