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   『山家集』1118

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「バナナはたいてい無神論者である」 カテゴリーの錯誤としての生成文法

「カテゴリーの錯誤 category mistake」というものがある。

ウィキペディアは、カテゴリーの錯誤の例として、
「バナナはたいてい無神論者である。  Most bananas are atheists. 
という命題をあげている。
そもそもバナナは神について思考しない。ゆえにこれは、バナナを誤ったカテゴリー(神について思考する存在)に入れたことからくる間違い命題である。
生成文法は、人間が言語を話すさいに働く規範を、脳の生理に結びつけようとする。
それはあたかも
「交通ルールは車の機能である」
と言っているような奇妙さがつきまとう。
交通ルールは社会のルールであり、車を運転する人間が学ぶ規範である。
ある地域の交通ルールは、車の機能と関係はあるが、車の機能が具体的な交通ルールを決めているのではない。

「交通ルールは車の機能である」

 

 

というと、どことなくおかしいことに気づくが、少し変えて、

 

 

 

「車はたいてい交通ルールを守る」

 

 

 

というと、そうおかしくない感じがする。

 

じつは、この言い方には、はじめにあげた

 

 

 

「バナナはたいてい無神論者である」

 

 

 

という命題に似た錯誤がふくまれているのだが、人はなかなかそこに気づかない。

 

そのため、

 

 

 

「車が交通ルールを守る仕組みを明らかにしよう!

 

交通ルールを調べれば、車の根本的機能が明らかになる。

 

こんなアプローチはこれまでなかった。

 

これこそ真の科学だ!」

 

 

 

と言われると、その気になる人もでてきた。

 

こうして生成文法の<科学の国>では、ドライバーなし、目的地なしの車が走っている。

 

この不思議な光景にひかれて、世の才能が集まった。

 

車(脳)の根本的機能を明らかにすることを夢見ながら、交通ルール(言語規範)を徹底的に議論する人たちである。

 

以来、半世紀がたった。

 

ドライバー不在の交通ルールに関する徹底的な議論。それが車の機能の解明にどう役立ったか。それはよくわからない。

 

しかし、それでいいのだ。

 

車の機能が解明されようとされまいと、<科学の国>ではドライバーがいない不思議な車が、目的地も知らずにいまだ走っている。

 

だから彼らは、この車の素晴らしいメカニズムにわくわくしながら、交通ルールを議論していれば幸福なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の文法 トランス・グラマー | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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