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万有引力と重力波 「影の国」が自立する おわり
重力波 gravitational radiation とは、重力の場が波動の形で伝わるもので、その伝わる速度は光速度と同じだという。(同上書、56頁)

もともと万有引力も、物体が引き合うという結果についての媒介の発見であったが、重力波の発見は、その万有引力という結果を生む媒介の仕組みを明らかにした。

科学は、媒介の解明であると言える。

ところで、ヘーゲルはたんなる世間知らずの頑固おじさんではなく、自分の論理学が日陰の存在=「影の国 das Reich der Schatten」であることをよく知っていた。

しかしヘーゲルは、浅薄な「教養」ばかりが流行するドイツの現状にとって、論理学は必要なものだという信念ももっていた。

そして論理学を通して「思想が自立性と独立性を獲得する」ことが「とくに大事なこと」だと述べた。(ヘーゲル(武市健人訳)『大論理学』上巻の1、46頁)

論理という遠回りな媒介の世界=影の国を正面から解明して「意識された力」(ヘーゲル同上書、45頁)とすることが、人間の自立と独立を可能にする。

同じことが科学にもいえる。

万有引力とか重力波とかというのは、より根本的な媒介の解明によって自然を「意識された力」にする努力であって、これによって人間は自然から自立し独立できるようになった。

言語についても同じことがいえる。

万有引力が結果としてこの世にあるように、言語は現に私たちのもとにある。

そして万有引力という結果を媒介する、より根本的な仕組みとして重力波が明らかにされた。

それと同じように、言語という結果を媒介する根本的な仕組みが明らかにされたとき、人間は言語からいっそう自由になれる。









(おわり)








| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 今さらながら現代サイエンス | 19:59 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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