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         大鏡


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we から they へと瞬間トランスする英語の面白さ オバマのイスラエル・ジョーク
NPR を聞いていたら、緊迫する中東情勢のなか、イスラエルのネタニエフ首相がオバマ大統領に会いたいと申し入れたらしい。

するとオバマ大統領側は " For variety of reasons President Obama is not available." と断ったという。

このニュースのなかで、イスラエルとの関係について記者がオバマ大統領に質問したところ、オバマ大統領から "a very elegant answer" が返ってきたことを紹介していた。


"You know, we both are so busy with their jobs."


このジョークは、they が誰を指すかによって、違う解釈がありそうだ。

ひとつは、they とはイランとかシリアのことだという解釈。普通にいけば、この解釈が順当かもしれない。

もうひとつは、they  とはアメリカにとってのイスラエル、イスラエルにとってのアメリカのことだという解釈。

アメリカはイスラエルのことで忙しく、イスラエルはアメリカのことで忙しいので、お互いに会って話す時間がない、という皮肉である。

ジョークとしてはこのほうが面白いし、おそらくオバマ大統領の意図もこっちだったのだろう。

面白さの理由は、we と they がもたらす視点の移動の妙である。

we とは、この場合、アメリカとイスラエル。

そして both と their jobs という言葉から、じつはアメリカではイスラエルのことをwe ではなく they と呼んで内部で議論し、イスラエルではアメリカのことをwe ではなく they と呼んで内部で議論して、やたらに忙しい so busy という構図が浮かんでくる。

their jobs と、 job が複数形なのは、アメリカから見たイスラエルという案件 job と、イスラエルからみたアメリカという案件 job が同時に交差しているからで、shake hands などと似た「相互複数」である。

このジョークは、はじめ we であったはずのふたつの国が、互いを they と呼んでいる構図へと瞬時に入れ替わるところが面白さを支えている。

現実の中東情勢は複雑深刻で、英語の解説などやっている場合ではないのだが、ちょっと代名詞のことが面白かったのでメモした。








(おわり)









| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 英語 | 21:55 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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