ごきげんようチャンネル

鳥倦飛而知還 鳥 飛ぶに倦みて 還るを知る


陶淵明・歸去來兮辭


<< government of the people, by the people, for the people - ゲティスバーグ演説の意味について おわり | main | 中島敦『李陵』の文体について その1 >>
大学教育の弛緩について 米メリーランド大分校の挑戦
大学教育の弛緩が、アメリカでも日本でも問題になっている。

米CBSテレビがメリーランド大学ボルチモア校の取り組みを紹介した番組があった。

http://www.cbsnews.com/video/watch/?id=7411990n&tag=segementExtraScroller;housing

熱心な学長(黒人・数学専攻)が、理系教育の立て直しに奮闘している様子を紹介したドキュメンタリーだが、いくつか感想を。

◯ 入学前の情報・やる気を維持させる仕組み・きちんとした講義内容が重要だ

この学長は、「君たちはできるのだ。できるから入学させた。We accepted you because we know you can do this work. 入学させた以上、卒業まで責任をもつ」と言っていた。

もちろん、ある学生が<できる>かどうかは、実際にやってみないとわからない。だからインタビュアーは「かならずできる、というのは夢想ではないですか?」と聞いている。

しかし問題は、入学した学生に能力があるかないかではない。情報を伝え、やる気を維持させ、きちんと教える仕組みが大学にあるかどうかである。

入学前に大学の内容を正確に伝え、そのうえで入学した学生にはやる気を維持させ、しっかり教える仕組みがあれば、大学は責任を果たしているといえる。

そのうえで、やめるかどうかは学生本人の問題である。



◯ 規律の立て直しは重要である

番組でいちばん印象的なのは、学生が列を組んで教室を移動する場面である。

きちんと列を作らねばならず、勝手に歩くことは許されない。("Gaps in a line are not allowed.")

また、授業に携帯電話などの電子器機をもちこんでもいけない。("There's no-telephone-rule: no electronics, no headphones.")

そして、競争ではなく、互いに助け合う姿勢が強調される。("The key to success, they are told, is collaboration, not competition.")

どれもアメリカの大学の常識的なイメージに逆行しているが、私はこれは良い方法だと思う。

規律は教育にとって大事である。

規律は、まず外面の整備からはじまる。制服を着た瞬間、いやでもしゃきっとするという職業人は多い。




◯ 学問がほんとうに面白いと思っている人が教えるべきである

この学長のいいところは、たんに大学の仕組みの建て直しに熱心であるだけでなく、学問じたいも、学問している若者の姿も、「鳥肌が立つほど感動する get goose bumps」と言っているところだ。

学問に感動していない人が学問の魅力を伝えることはむずかしい。

外面を規律するだけでなく、内容の面白さはもちろん重要である。





この大学が今後どうなっていくか。

この学長が去ったあと、どうなるか。

それはわからないが、この学長が学生に次のように言っていた。おおむね正しいと思う。

"I want you to keep dreaming about the possibilities.  Nothing takes place without hard work, attitude, and getting support from each other.  That's what this is all about.  Focus!  Focus!  Focus! "














| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 教育をどうする? | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









http://soundsteps.jugem.jp/trackback/3068
#誰が書いてるの?
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     
<< April 2018 >>
-->
#新しい記事
#過去の記事
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
#著書/共著
敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人
敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人 (JUGEMレビュー »)
ジョン ダワー, John W. Dower, 三浦 陽一, 高杉 忠明
#著書/共著
敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人
敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人 (JUGEMレビュー »)
ジョン ダワー, John W. Dower, 三浦 陽一, 田代 泰子, 高杉 忠明
#コメント
#トラックバック