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         大鏡


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「ローマの休日」の魅力は日本国憲法に通じるのだ

「見た」という記憶のほかには何も覚えていない。

それほど大昔に見た「ローマの休日 Roman Holiday」(1953年)。

Thank you ひとつにも意外なニュアンスがあることがわかるシーンを探したかった。

あったあった。約二時間の映画に数十回はThank you が出てくる。

しかしじつをいうと、見ているうちにThank youのことよりも作品のおもしろさにひかれてしまった。

どうしてこの作品が今でも人気があるのか、わかったような気がした。

ヘップバーンの可愛さと成長のほほえましさはもちろん、24時間の「休日」という限定感、古都ローマの風景、イタリア人の陽気さとアメリカ人のビジネス第一主義(誇張された国民イメージは表現次第では面白い)、ちょっとしたお色気、哀愁、気の利いたエピソード、そしてわかりやすいストーリー。

さすがに半世紀も前の作品なので、映像はそう凝ったものはない。しかしそこが作品のわかりやすさにもなっており、平明な白黒フィルムの表現は「カサブランカ」にも似ている。

映画史に残る映画というのは、わりと単純な構成のものが多いような気がする。わかりやすさは大きな武器だ。

ところでこの映画、最後に憲法九条の精神につながる思想が描かれている。

平民?のアメリカ人記者と「ローマの休日」を過ごしたアン王女は、記者会見で質問を受ける。

"What is your outlook for the friendship among nations?"

みたいな質問で、王女はこう答える。

”I have every faith in it[=the friendship among nations], as I have faith in relations between people.”

王女の口からpeople という意外な言葉が出てきたので、お付きの者たちはあわてる。

王女の言葉を

「国どうしの友好関係は、人と人との友好関係あってのものです」

という意味にとれば、政府どうしの打算よりも「諸国民の信頼」が平和の基礎だと喝破した日本国憲法前文の精神を、ヘップバーンが述べていることになる。

ローマで庶民の生活を体験した王女だからこそ言える言葉である。

「ローマの休日」のメッセージは日本国憲法の精神なのだ。











| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 映画の英語 | 00:42 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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