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カタカナ流の英語発音は「訓読」である その1

大島正二『唐代の人は漢詩をどう読んだか 中国音韻学への誘い』(岩波書店、2009年6月)

巻末に有名な漢詩の現代中国語読みと唐代の読み方の比較表がついているが、ずいぶん違っているので驚く。

中国語の発音が時代によってそうとう変化したことは日本でも知られているが、本書によるとそれを本格的に明らかにしたのは中国人ではなかった。

ヨーロッパの近代言語学を学んだスェーデン人のベルンハルド・カールグレン(1889‐1978)である。

1910年中国大陸にいき、24か所で方言の調査をおこなったあとヨーロッパにもどったカールグレンは、1915年に『中国音韻学研究』をフランス語で著した。

中国の方言、日本・朝鮮・ベトナムの漢字音、そして中国の資料を比較し、中国語の古い発音を推定したこの本は、いまも不朽の名著とされている。

じつは清代には中国人による古い発音の研究もおこなわれていたのだが、「それは理論的にヨーロッパの近代的な言語学の方法にとても太刀打ちできるものでは」なかった。127頁

中国の学者たちは「自分たちの祖先が話していた言語の音が外国人によってそのベールをはがされた」ことに「たいへんなショックを受け」た。127頁。

彼らはカールグレンの著書を中国語に翻訳し、誤りを修正し、さらに原著のスェーデン式字母を国際音声字母(国際発音記号)に書き直して1940年(日中戦争のさなか)に出版した。

私がこの話に興味をもった理由はふたつある。

ひとつは、言語の研究は外国人のほうが有利である場合があること。母語は無意識部分が多いので言語過程を意識化するのがかえってむずかしいことがあるからである。

もうひとつは、研究者は自国で流行っている言語分析の手法にとらわれがちだが、そればかりでは気づかないうちに壁にぶつかっている場合があるということである。






(つづく)






| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 英語の発音 | 23:20 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
コメントありがとうございます。広東方言がそういものだとは知りませんでした。また訪問してみてください。
| みうら | 2010/05/03 10:29 PM |
こんにちは。はじめまして。

広東方言は中国語の古い音韻をよく保存しているといいますが、それを実感することがありました。香港の事務所ビルの管理人に唐詩を書いて見せたところたいそう喜んで吟じてくれましたが、普通話のときよりもずっと陰影が深く驚きました。


久しぶりに英語発音の練習をして、声がよく響くようになったので Google で[英語 共鳴]を使って検索したところ、こちらのブログが3位に表示されましたので訪問した次第です。

こんなにおもしろい記事があるのにいままで気づかなかったのがちょっと意外な気がしました。

Dower の Embracing Defeat を訳した方と知り、びっくりです。
| Shira | 2010/05/03 6:10 PM |









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