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         大鏡


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古代エジプトとインカ帝国 人間の労役が税となる時代

かつて見たテレビで、エジプトのピラミッドの建設にあたった人の出勤簿が見つかり、そこに「二日酔いで欠勤」という記述があるという話があった。古代エジプト人はビールを飲んでいたらしい。

「二日酔い」と聞いて思い出すのは、インカ帝国のことだ。

 

ある研究によると、インカ帝国では、ジャガイモを中心とするイモ類とリャマやアルパカなどの家畜が生活の糧であった。

トウモロコシは、王の土地で特別に栽培されるものであった。トウモロコシが神聖視されたのは、王が民衆にトウモロコシ酒(人が口で噛んで吐き出し発酵させるチチャ酒)を大判振る舞いするためであったという。

貨幣のないインカ帝国では、税はすべて労役によって支払われ、住民には必要に応じて食糧や衣類などが見返りとして分配された。インカの大神殿は、税としての労役の産物であった。

そして王からの贈り物としてふるまわれる大酒宴に、人々は酔った。インカ帝国は酒宴帝国でもあった。

 


(以上、山本紀夫『ジャガイモとインカ帝国』東京大学出版会、2004年、146、181、188、189頁)

 


古代エジプトではビールが飲まれていたというが、これはインカ帝国のチチャ酒を思い出させる。
 

 

 

...

 

 

 

ここでトランス・ヒストリー(人類普遍史)からみて大事なこと。

 

それは、古代国家では、労役が税となることである。

 

古代国家は、人間をいわば丸ごと動員して、一定期間労役させた。この労役は税であるから、基本的に代価はない。ただ、酒宴や神殿のような共同体的な行事・建築物によって意味づけられることはあった。

 

中央の国家権力が直接、人民を人身支配するために、地方自生または中央派遣の支配層が、中間で役割を果たしたのだろう。こうした中間組織が、人民を直接労役にかりたてる実質的な権力主体であっただろう。

 

 

人類史の<古代・封建・近代>を支える人的土台は、<奴隷・農奴・労働者>の三段階になる。これは言い換えると、<人身支配・土地支配・生活支配>ということであろう。

 

つまり税の対象が、<人身と、そこから直接生まれる労役>→<土地と、そこから生まれる生産物>→<生活と、そこから生まれる便益>と変化していく。

 

それは税の対象が人間にとって間接的になる(≒ 住民の自由度が増す)と同時に、住民の活動のすみずみにまで税による支配が浸透していく過程であった。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 希望の歴史 トランス・ヒストリー | 11:53 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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