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   『山家集』1118

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英語帝国主義論の根深さ  「ニッポンの英語」再考(その4)
英語教育の目的についての三番目の見方は、英語帝国主義論である。

英語は日本文化(日本人としてのアイデンティティ)を破壊する帝国主義の一部だとして、英語教育そのものに警戒的ないしは否定的な議論である。望田幸男氏や大石俊一氏が代表的な論者であろうが、一見極端にみえるこの主張には、潜在的に多数の支持者がいる。

長年、明治大学で英語を教えてきたピーターセン氏は、次のように観察している。

「日本人には、英語に対して感情的になる人は少なくないようだ。中学の時から強制的に国民全員に英語を覚えさせようとするやり方を改めない限り、感情的な反応はなくならないだろう。」(マーク・ピーターセン『英語の壁』文春新書、2003年、69頁

日本における英語への反感は、今にはじまったことではない。

「英語という言語じたいが、帝国主義的な権力を常に発動する本質を持っているとは考えられない。にもかかわらず、英語が広く流通しているという現実と、英語が日本語および日本人を窮地に陥れているという言説を結びつけて危機感を煽る思考は、近代日本社会において一定の説得力を発揮してきた。ある時は「英語」の廃止を論じ、ある時は権力の源としての「英語」を我がものとしながら、「日本人らしい英語」を作ることを推奨し、さらには「英語」を逆手にとって「日本」を発信しようと唱える者を産み出してきた。「戦前」に限った過去の話ではない。」(山口誠『英語講座の誕生−メディアと教養が出会う近代日本』講談社選書メチエ、2001年、233頁より要約

皮肉なことに、英語帝国主義論者には、英語教師が多いようだ。ならば、「この人、英語のおかげで食べてきたんじゃないの?」という素朴な疑問は避けられない。餅屋が、「自分が売っている餅は毒入りだ!」と大声で非難しているような奇妙さがある。

誰にとっても「美しい日本語」とか、「死守すべき日本文化」なるものが、どこかに一律不変に存在するかのようにいい、そのうえで英語という言語を「敵」に仕立てる単純な対立的思考も、少々気になる。

英語帝国主義論の気持ちは、わからないでもない。しかし、英語への反発や警戒を根拠に、英語がもつ実用性や、生徒の視野を広げる可能性まで否定できるだろうか。これは、英語国際語論や英語教養論からの疑問である。

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 英会話 | 00:00 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
そうかもしれません。どの言語でも個人のアイデンティティと密接に関係しているために外国語を話すことは アイデンティティの破壊とみなされやすいと思います。外国語をアイデンティティの破壊ではなくアイデンティティの複数化と考えれば楽しくもなりますが、学校でやらされると強制の面が強くなって「破壊」のイメージになりやすいのでしょう。
| みうら | 2011/10/24 10:26 AM |
英語教師に英語帝国主義論者が多い、というのは日本特有の現象じゃないでしょうか。背後には「ネイティブ」に対する恐怖心やコンプレックスがあるように思います。
| HSE | 2011/10/24 9:30 AM |
そうですね。それでいいと思います。
| みうら | 2010/03/13 5:39 PM |
>そのうえで英語という言語を「敵」に仕立てる単純な対立的思考も、少々気になる

では 「英語帝国主義だけに反対する」のではなく「英語帝国主義を含むすべての言語帝国主義に反対する」だったらどうですか? 
| nhat | 2010/03/13 12:38 PM |









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