ごきげんようチャンネル

"The United States as a country has interests, and those interests are not the interests we hear about on the campaign trail." Jeanne Zaino, Iona College
           
安倍晋三の発想を探る おわり

安倍氏は、次の言葉で本書を結んでいる。

 



「わたしたちの国日本は、美しい自然に恵まれた、長い歴史と独自の文化をもつ国だ。日本人であることを卑下するより、誇りに思い、未来を切り拓くために汗を流すべきではないだろうか。」(『美しい国へ』228頁

 

 


これも、自民党のオハコの言葉である。説得力もあるようにみえる。もちろん、憲法九条は、都合よく「長い歴史と独自の文化」からはずされている。日本国憲法の歴史は、すでに明治憲法の寿命よりも長くなったにもかかわらず。

それにしても、安倍氏がいう日本の「美しい自然」の破壊を推進し、「長い歴史と独自の文化」に汚点をつけたのは、いったい誰だったのだろうか。

以前、学生のレポートにあった言葉の激しさに、私は驚いた。要約して紹介してみる。

 



「歴代日本政府は精神的文化的な面をおろそかにし、企業などでの人権軽視を放任し、政府要人やエリート官僚が憲法を無視して軍拡をくりかえし、つぎつぎと汚職腐敗事件を起こして、国民に日本人としての誇りを失わせ、正しい国家観、社会観の形成を阻害してきた。日の丸・君が代を国民に押し付ける前に、なぜ国民が日の丸・君が代を尊重しなくなったか、反省しているのか」
 

 

 

 

 

 

(おわり)

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 自民党 | 09:20 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
安倍晋三の発想を探る その5

安倍首相は、世界のどこでも、国家は個人を超える最高価値だとか、どの国家も軍隊(暴力)をもち、内外ににらみをきかせてこそ、国民や外国に威厳を示せると思っているらしい。

たとえばドイツと日本について、「違う歴史を歩んできた国同士、おたがいに認めあい、尊重しあって信頼を醸成させていくことが大切」(130頁)だと、いいことを言っている。ならば、

 


<国情が違うから軍隊についての考え方も違う、日本には非武装という独自の発想がある>

 


と言うのかと思ったら、そうではない。ドイツが軍隊をもったのだから日本もそうするのが当然だというのが、安倍氏の主張である。ちっとも「違う歴史」を尊重しあう姿勢になっていない。

そうなってしまう理由はもちろん、<国家=安全保障=武力>という、戦前さながらのワンパターン発想に染まりきっているからである。武力に頼らない国家が多かろうが少なかろうが(じっさい、軍隊をもたない国家は現在20を超えるが)、日本の戦後は、武力なき安全保障という新発想で出発したのである。

それが気に入らないと主張するのは自由だが、戦後の日本が他国と違う代表的特徴は、憲法九条である。憲法九条の歴史は、日清日露から敗戦までの年月よりもすでに長い。戦前の国家主義の日本が「伝統」というなら、九条もまた、半世紀を越える日本の「国情」、日本の「伝統」そのものである。それが彼らには、どうしても気に入らないということだ。

角度をかえていえば、昔ながらの武力に頼る以外に、彼らには<安全>をつくりだす知恵や技量がない、ということである。

 

 

 

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 自民党 | 09:15 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
安倍晋三の発想を探る その4

安倍首相の『美しい国へ』には、次のように書いてある。

 



「相手のつくった土俵の上で、相手に気に入られる相撲をとってみせるー 従来から変わらぬ外交手法。つねに相手のペースをくずさないように協力して相撲をとれば、それなりの見返りがある。それを成果とするのが戦後の外交であった。」(46頁

 

 


そう、これが日本の外交である。とくにアメリカに対しては。

「日米同盟はベストの選択」(129頁)とアタマから決め込んで「相手の土俵」にのり、「日米同盟における双務性を高」(133頁)める、つまり相手に気にいられるためならなんでもして、アメリカの見返りを期待するのが、日本の対米外交である。

ところが、「相手の土俵で相撲をとって」悔しい思いをしているのは、安倍氏によると、日本の「対中・対北朝鮮外交」のほうだという。

対中・対北朝鮮外交で、日本が相手の土俵にのってしまっているのは、かなりの程度、事実である。しかし、そうなる根本原因は、日本がアメリカの従属国にすぎないことを、他国に見透かされているからである。北朝鮮がアメリカとの「直接対話」をねらうのは、日本などアメリカの属国のようなものだと知っているからである。

アメリカは、日本を「同盟国」だともちあげたりすることがある。その目的は、そう言っておけば日本のプライドを刺激して便利だからである。日本を平等の立場で尊重しているからではない。自国の軍隊をおき、核ミサイルの圏内にいれてあり、アメリカ市場を頼りにし、国際信用のない敗戦国日本を、アメリカが対等に扱うはずがない。

こういうことに気づかない人間が、権力を動かす。それが日本という国の実態である。
 

 

 

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 自民党 | 09:10 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
安倍晋三の発想を探る その3

安保体制の実益とは何か?

それはこの本、『美しい国へ』に明記されている。

イラクに自衛隊を派遣した目的のひとつは、安倍氏によると、次の通りである。

 



「日本はエネルギー資源である原油の85パーセントを中東地域にたよっている。しかもイラクの原油の埋蔵量は、サウジアラビアについて世界第二位。この地域の平和と安定を回復するということは、まさに日本の国益にかなうことなのである。」(135頁

 

 



かつての侵略戦争の清算を拒否したために、日本には国際信用がない。逆にアメリカは国際的地位が高く、自国の若者の生命を犠牲にして、果敢に海外戦を実行し、日本の市場や資源を安定的に確保してくれる。巣晴らしい親分である。イラク戦争は、その実例だ。

 

アメリカのグローバルな威信と暴力に依存する以外に、日本の行く道はない。石油が確保できるなら、自衛隊の派遣くらい安い投資だー。

そう信じているのが、自民党政権である。

市場と資源を確保するために、他国の暴力に依存する。これは立派な「覇権主義」の発想である。日本は覇権主義国家である。ただし、アメリカに主体的に従属した覇権主義である。

安倍晋三氏は、自民党の優等生だと私が言うのは、まず、こうした安全保障についての基本発想を指している。

 

 

 

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

 


 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 自民党 | 09:03 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
安倍晋三の発想を探る その2

安倍晋三は自民党の優等生だと言ったが、その第一の例は、安全保障問題についての安倍氏の基本発想である。

極東の不安定な軍事情勢、中(朝)の核兵器に対する防衛の必要、そしてアメリカの絶大な国力を考えると、「日米同盟はベストの選択」(129頁)である。しかし、アメリカに防衛を依頼しているだけでは日本の「誇り」が許さないから、「日米同盟における双務性を高めてこそ、基地問題を含めて、わたしたちの発言力は格段に増す」(133頁)と発想する。

典型的な「安保の論理」である。日本の国土に米軍基地を受け入れ、アメリカの軍事力に依存すること。これは絶対的な前提と信じて疑わない。実は米軍基地によって日本は独立を喪失していることを、彼らは認識できない。

アメリカは日本に米軍の基地をおくが、アメリカの国土に自衛隊の基地をおかせないのはなぜか。軍事的に危険だからである。他国の軍隊を自分の国土に招きいれることは、従属の典型的な姿である。

この従属を「ベスト」と受け入れてしまえば、あとはアリ地獄が待っている。

 

従属しながら自分の地位を上げるには「双務性を高め」る、つまり日本の軍事力を増強したり、米軍の再編にお金を出したりするのは当然だということになる。「双務性」の実態は、アメリカの高価な兵器を購入することであり、在日米軍が日本を基地にして、安心して世界中で戦争ができるということであり、米兵の日本女性への暴行を容認することである。安倍氏らが夢想する、アメリカに「物申す」日本は、けっして実現しない。もがけばもがくほど、アメリカへの従属は強まる。

では、どうしてこのような従属が従属として意識されず、かえって「美しい国」の絶対条件であるかのようにしか思えないのか。

ひとつだけ理由をあげると、それは<実益>があるからである。

 

 

 

 



つづく

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 自民党 | 08:58 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
安倍晋三の発想を探る その1 

内閣改造という名の、安倍首相の政権延命工作がつづいている。

 

そもそも、安倍という人物はどういう発想で生きている人なのか。

 

以下に、安倍氏が十年ほど前に出版した『美しい国へ』(文春新書、2006年7月)の内容を批評しながら紹介してみる。

 

彼の基本発想は、いまも変わっていないと思われる。われわれが誰を首相にしているかを理解するのに役立てば、幸いである。

 

 

 

...

 

 

 

安倍晋三『美しい国へ』(文春新書、2006年7月)。

本書の印象を一言でいうと、この人は自民党議員の優等生だということだ。別の言い方をすると、優等生であるがゆえに、きわだった個性が見つからない。発想もおじいちゃんである岸信介の時代そのままであるところをみると、「反抗期をもたなかったお坊ちゃん」という印象だ。

具体的な政策レベルでは、安全保障、外交、経済、教育、どれをとっても自民党の既存路線に沿ったもので、きわだった目新しさはない。

安倍氏のひとつの特徴は、「情感ムード派」であることにある。

この本は、「わたしの政治家としての根っこにある想い」(232頁)をつづったというが、カバーとあとがきに「自信と誇りをもてる日本へ」という言葉がくりかえされている。自信も誇りも、情感面の満足の問題である。

 


「美しい」日本なるものの中身がわかりにくいという批評が出ているが、この本によると、安倍氏のいう「美しい国」とは、

 

 


“しい自然のなかで、暖かい家族を中心に、心豊かな民が暮らす国土と国民。
国民には母のように優しく、外国には父のように毅然としている国家権力。

 

 


ということらしい。いかにも情感派である。そもそも「美しい日本」というスローガンじたい、「情感ムード派」である。

「美しい国」という言葉はきれいだし、目標も文句なしにもみえる。国は「美しい」ほうがいいに決まっている。なのに、素直に賛同したり、安倍氏を尊敬する気になれない。どこか一人よがりの印象があるのは、なぜだろう。

おそらくこの政権は、総理大臣による<情感のパフォーマンス>を煙幕にして、実態としては冷酷な搾取と、陰険な権力行使をやろうとするだろう。それに気づいた国民がシラけてしまえば、崩壊は早いかもしれない。しかし、中身はオーソドックスな自民党政権だから、地道にやれば、案外と持続するかもしれない。

 

 

 

 

 

 



つづく

 

 

 

 

 

 


 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 自民党 | 08:49 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
歴史認識の誤りから、すべての悪法が出てくる
韓国の中央日報(日本語版)の「村山談話の継承の会」についての報道によると、吉田社民党党首が次のように発言したという。



「安倍政権が推進中の集団的自衛権行使のための憲法解釈の変更、特定秘密保護法案の通過などは結局、(安倍首相の)誤った歴史認識から出発している。」(11月12日配信)



個人でも組織でも国家でも、あらゆる自覚的主体は、自己にかんする核心的認識(アイデンティティ)にもとづいて行動する。

自己の由来にかんする認識(歴史認識)は、アイデンティティの中核をなす。




自己認識(アイデンティティ)を自覚的に変更することは不可能ではないが、多大のエネルギーと巧みな自己コントロールを必要とするから、たいていの主体はいったん確立したアイデンティティを変更しようとはしない。



国家のような、広域的に資源を調達し費消する強力な団体のあり方は、そこに住むすべての個人に影響を与える。

愚かな自己認識をもつ人間が率先して、国家の資源を浪費するとき、回復不可能なほどの自傷行為となる。














 
| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 自民党 | 10:58 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
オバマの人相が悪くなった
何人かで政治の話をしていたら、


「なんだか、このごろオバマの人相が悪くなったね。」


と言った人がいて、そこにいた全員が賛同した。



このところ、シリアへのロケット攻撃の中止とか、盗聴問題とか、オバマケアの出足が悪いとか、どうもパっとしないことが続いているので、政権の士気がくじかれているところがある。


といっても、自分に責任のないことで困っているのではない。どれも身から出たさびであるから、自分で責任をとるしかないが、どうも彼らは問題から逃げ腰である。


オバマ政権が今話題のTPPを推進していることも考えると、政治の内容面で、この政権は一種の惰性、焦り、疲労感、さらには腐敗臭さえただよってきたように感じる。

















 
| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 自民党 | 10:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
君が代斉唱問題 ほんとうに口元を監視されるべきは誰か
大阪府の教育委員会が、府立学校の入学式などで教職員が君が代をほんとうに歌っているか、口元を目視で監視し、結果を報告せよ、という通知を全府立学校に出したことがわかった。

橋下氏が任命した教育委員長らがやったことらしい。

これは国家観の自由、すなわち思想信条の自由に直接かかわることである。

こういうことを命じる人は、自分の意にそわない歌を歌わされたら自分はどう思うか、考えたことがあるのだろうか。

彼らは、公的機関の仕事のなかに、個人の思想信条をふみにじることが入っていると思っているのだろう。

こういうことに熱心な人々は、ブッシュ政権の背後にいたネオコンに似て、公的な機関を通じて反動を実現しようとしている。

そういう意味では安倍政権も同じで、彼らの発想と行動がどれほどの公共性をもつかは、きわめて疑わしい。





ほんとうに口元を監視されるべきなのは、公的な機関を利用して私的な欲望を満足させようとしている、愚かで迷惑な小人(しょうじん)たちのほうである。






【共同通信記事】



君が代斉唱、口元監視を正式通知 大阪府教育委員会

 大阪府教育委員会が全府立学校に対し、教職員が入学式や卒業式で実際に国歌斉唱しているかを教頭ら管理職が目視して確認し、校長が府教委に報告するよう求める通知を出していたことが18日分かった。府立高校長時代に教職員の口の動きをチェックして議論を呼んだ中原徹教育長の意向を踏まえた。

 「口元監視」は当時、教育委員の一部が行き過ぎだと指摘する一方、中原氏は「起立斉唱の職務命令に従っただけだ」と反論していた。正式な通知としたことで議論が再燃する可能性もある。

 府教委によると、通知は今月4日付。教育振興室長名で府立高138校、支援学校31校の計169校に出された。

2013/09/19 02:00   【共同通信】
















| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 自民党 | 08:54 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
「聖域なき関税撤廃ではない」なる言葉の空しさについて
いまラジオで国会中継をやっていて、安倍首相が先日、オバマ大統領に直接会って、


「聖域なき関税撤廃ではないことを確認した」


と主張していることに対して、質問がおこなわれている。

国会の問答を聞きながら、空しくなってきた。

考えてみれば、どの関税をどう撤廃するかは、基本的に各国がそれぞれに決める事だから、

「聖域なき関税撤廃」

というのは、そもそもありえないことである。

つまり、本来当たり前のことを確認したとかしないとか言っていることになる。

これは、自民党政府が痴呆的というよりも、意図的に争点を矮小化しておき、「それがクリアされたからTTPに参加できる」といえるようにシナリオを作り、その通りに演じたということであろう。

これは争点をずらして誤摩化す、典型的なやり口である。

しかし、権力による誤摩化しはその通りに通用する。

日本の産業は自民党政権の下で、また打撃を受けるだろう。
















| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 自民党 | 11:49 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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