ごきげんようチャンネル


みにつもる ことばのつみも あらはれて こころすみぬる 三重(みかさね)のたき

   『山家集』1118

三日で20万円の講習費用がもつ意味

ある特殊な技術を教える協会がおこなっている講習が、三日間で20万円だという話を聞いた。

 

20万円という高額がもつ意味を、ある人が説明してくれたのだが、その話に、私は驚愕した。

 

 

 

・高額だと素人は受講しないので、低い技術から教える手間が省ける。

 

・高額だと受講者数が限定されるので、教えやすい。

 

・高額だと、受講者は元がとれるかどうか計算し、元がとれると判断したら受講する。この判断ができたことじたい、受講者に一定の収益力がすでにあり、講習終了後も関係を維持できることを意味する。

 

・その技術の目的をすでに理解しており、ほんとうに習得したい人だけが受講するので、受講態度が真剣になり、講習が効率的に進行する。

 

・高額の講習を受けて合格することで、受講者は仕事に自信が増す。

 

・高額なほうが、受講者は技術の具体的な内容を他人にしゃべらないので、技術の秘密が守れる。

 

・講習費用を高額にし、習得者数を限定するほうが、特別な技術として別料金を客から取れる。つまり、高額なほうが技術普及率を適切に維持できるので、協会も資格取得者も長期的に利益を得る。

 

 

 

以上は、教える技術に自信があってはじめて成り立つ話ではあるが...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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カルティエの接客技術 おわり

巻末の訳者解説は、本書をうまく要約している。

 


「ラグジュアリー・ブランドは人々に夢を与えることができなければなりません。

ブランドにまつわるストーリーや世界観を語り、演出し、そして実現しなければなりません。

ラグジュアリーとは、創造性と職人技とが息づき、つねに細部にいたるまでの完璧と卓越を追及するビジネスであり、「喜び」をもたらすものです」(236頁)

 


では何が人々に夢を与えるのか。

それは「ディテール」である。「ラグジュアリーとは、ディテールへのこだわり」のことなのだ。114頁。

同じことを、本書はこう表現している。

 


顧客が気に入るのは、ケーキよりもケーキの飾りつけのチェリーだと考えましょう。チェリーをよく見せるためにケーキの層を作り上げるのです。」155頁。


ケーキの各層はチェリーのためにある。それがラグジュアリーの本質だと。






(おわり)


 

 

 

 

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カルティエの接客技術 その4

・「今お召しのドレスにこの靴を組み合わせたらどうなるでしょう?」と提案せよ。すでにあるものとの組み合わせは好奇心をかきたて、前向きの気持ちを誘う。158頁。

・商品(クリエーションと呼ぶ)を客前でていねいに扱うことで、商品の価値を高めよ。163頁。

・価格を聞かれたら、答える前に必ず「美しいパッケージ」の言葉を添えよ。「これは限定版の商品で、〇〇円です。」177頁。

・買おうと思いはじめると、顧客は口に出す前に態度を変える。そのサインを見逃さない。そのときにそなえてサービスを用意しておく。商品の薀蓄、「名前を入れます」「自宅までお届けします」など。買うと告げられたあとも、手入れの方法を教える、「ところでそのバッグによくあう靴があります」と提案するなど、しばらく時間をとってから支払いの手続きに入る。じつは顧客はまだ迷っている。だから納得するための時間が必要。184,186,191頁。





(つづく)


 

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カルティエの接客技術 その3

・顧客というより人間として迎えよ。商品を探す背景には必ずその人のストーリーがある。それに興味をもて。44、50頁。

・顧客が商品を探すのは(自分か他人に)「贈る」ためである(=顧客にはストーリーがある)。人生とは祝うことである。その「祝おう」という気持ちに共鳴して「おめでとうございます」と言おう。

・セールス・アンバサダー(販売担当者)は名優である。名刺はいつも二枚渡そう。顧客が帰ったあと、すぐに次にコンタクトする予定を書き込もう。50,74,207,211頁。

・顧客を外見で判断しない。その兄が金持ちかもしれない。64頁。

・セールス・アンバサダーどうしの人間関係を顧客は敏感に感じとる。共通の目標にみんなで協力する雰囲気が大切。互いにいたわりあって休憩をとろう。66,98頁。

・販売は微妙なアート。もう一回来たいと思うように工夫するのが真のセールス・アンバサダー。73頁。

・知識の共有はきずなを築く。商品の薀蓄はよろこばれる。76頁。

・「よい」ではなく「洗練された」と言おう。より高い言葉を使おう。89頁。

・販売は演劇と同じ。準備でほとんどが決まる。111頁。

 

 



(つづく)
 

 

 

 

 

 


 

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カルティエの接客技術 その2

以下、主なポイント。

・機能を売る以上に夢を売れ。商品を恋人にせよ。商品が象徴するものを強調し、五感を刺激してロマンスをかきたてよ。顧客をがっかりさせることは壊れた夢をつくる行為。34,169,175,226頁。

・顧客はイヤリングか海外旅行かと迷っていることもある。高級ホテルの接待と比べていることもある=他業種もライバルである。ブランド品はすぐに必要であることは稀である=「買わない」という選択肢もライバルである。36,60,95頁。

・期待を上回るサービスが売り場の喜びになる。サービスに限界はない。62頁。

・価格を下げてはいけない。サービスが完全なら価格は納得される。38頁。




(つづく)


 

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カルティエの接客技術 その1

ロビン・レント、ジュヌヴィエーヴ・トゥール(フローレンス・石坂訳)『超高級ブランドに学ぶ感動接客』(日本経済新聞新報社、2008年1月)

著者はカルティエの元販売員。

訳者によると、高級ブランドの接客技術をまとめた本はこれまでなかったという。






(つづく)

 

 

 

 

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"ヘンな教師ばかりだった” というホンネ

40代の大学教員と話していて、自分たちが小中高で接した教師のことが話題になった。

 

彼がもらした一言が、印象に残った。

 

 

「けっきょく、ヘンな教師ばかりでした ...」

 

 

小中高をふりかえって、尊敬できる教師はいなかった、という意味である。

 

別の人から、同じ感想を聞いたことがある。私の実感も、これに近い。

 

 

たくさんのいい先生に恵まれた、という人もいるにちがいない。

 

だが、教師には見当違いのヘンな人が多く、今思えば尊敬できないという人も、かなりいるのではないか。

 

おそらく、これは日本だけではないはずだ。

 

だとすれば、そうなるのはなぜか。

 

けっこう深刻な問題ではないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | スタバスタイルの塾を作りたい | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
言葉に翻弄されるのではなく生きたい

つくづくと、あらためて、完璧な人はいない。

 

完璧な詩人も、完璧な政治家も、完璧な教師も、完璧な子どもも、いない。

 

「自分は完璧ではない」と思うのは人の批評を通じてであるが、その批評をしている人自身、完璧ではないから、ちょっとややこしいことになる。

 

完璧でない人が完璧でない人を批評するのだから、そこには誤解、偏見、見落とし、誤伝など、マイナスの現象がつきものだ。

 

完璧な人もいないし、完璧な人間関係も存在しない。いや、完璧な人間関係はないから、完璧な人間もいないのだ。

 

たぶん、「完璧」という概念じたい、ルターにとっての「神の義」のように、もともと達成不可能なもの、ただ言葉が存在するというだけのものなのだ。

 

高度すぎる概念に翻弄されるのではなく、かといってそれを放棄するというのでもなく、それに向かっていくという謙虚な姿勢が、いちばんいいのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | スタバスタイルの塾を作りたい | 19:26 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
司馬遼太郎「最後の将軍」 自在な文体の達成

司馬遼太郎の「最後の将軍  徳川慶喜」を、今日まで4回、計7時間にわたり、松平定知氏がラジオで朗読していた。

 

松平氏は、長いテキストを安定したリズムでぐんぐん読んでいく。区切りでは、ほんの短い沈黙を置く。聞くうちに、慶喜という人の才気と、革命というものの実態が、細部の描写を通して浮かび上がってくる。

 

松平氏の声の調子は、どこか文語の格調をたたえた物語芸であった。

 

 

 

 

そして、司馬遼太郎の文体の自在さ。近代日本語のひとつの達成がここにあるような気がした。

 

文体の自在とは、視点の自在である。その場の情景の客観的描写から、作者の主観的観察へと自在に移動しながら、そこに不自然さがない。司馬氏の奥さんが、「夫の文体はセクシーだと思う」といったのをテレビで聞いたことがあるが、それは怪しいまでに自在な、司馬流の視点の変換のゆえであろう。

 

 

 

 

江戸から明治への転換がはらむ史実の妙といい、司馬遼太郎の文体といい、松平氏の朗読といい、じつにいい達成を見せてもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | スタバスタイルの塾を作りたい | 09:24 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
声が出なくなってわかったこと

50歳くらいから、自分の声が小さくなった。

 

何年ものあいだ、喉にかすかな痛みがあり、声がかすれた。

 

今では、マイクなしで100人ほどに聞こえる声は、もう出ない。

 

もうそういう声が出ないことは、やってみなくても身体感覚としてわかる。

 

 

 

重いものを運ぶとき、「こういうものが運べるのは、あと何年だろう」と考えるようにもなった。

 

かつてのような力がなくなっていることが、身体感覚でわかるのだ。

 

 

 

そこで私が気づいたのは、女性の身体感覚についてである。

 

以前、若い女性の花火職人がラジオで、「花火の大玉は、重さが30キロあります。これは私には持てません」と話していた。

 

慣れた男性なら、30キロを持ち上げるという。

 

この女性は、30キロは重すぎることが、自分の身体感覚としてわかるのだと思う。

 

 

 

老いるということは、ある程度以上のことはできないことを、身体感覚としてわかるということではないだろうか。

 

若いということは、自分の限界に気づきにくいということである。女性の場合、その限界に気づく機会が多いのかもしれない。同時に、若いということは、自分の限界がまだ超えられるという身体感覚をもっているということでもある。

 

自分の限界を身体感覚で自覚している老人と、自分の限界を超えられそうだと身体感覚でわかる若者は、ちょうどいいペアである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | スタバスタイルの塾を作りたい | 00:02 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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