ごきげんようチャンネル

 魚、水を行くに、行けども際なし  道元『正法眼蔵』



旧日本軍の行為は、重犯罪である

今日、学生に、中国・海南島での日本海軍の「三光作戦」が戦争犯罪にあたるかどうか、なにを基準に戦争犯罪を考えればいいかを話した。

 

要は、刑法の概念がひとつの参考になるということである。

 

一般に犯罪では、故意intent と過失negligence を区別する。たとえば、故意殺か過失致死か。どちらであるかによって罪名も異なり、量刑もちがってくる。

 

結果は同じく「人の死亡」でも、故意と過失で大きなちがいがあるのは、人間社会の規範が「意志」を本質とすることの証左である。

 

さて、故意と過失の中間的なカテゴリーに、「未必の故意 willful negligence」というのがある。「自分は行為の対象を間違えているかもしれない。あるいは、これをしたら意図したこと以上の結果が生じるかもしれない。しかし、それでもかまわない」と思って実行行為を行う場合であり、危険を認識しながら、それを認容して行為しているので、一般に故意の一種とみなされている。

 

また、「業務上過失 professional negligence」というカテゴリーもある。「業務」とは、社会生活で反復・継続しておこなう活動をさし、高い注意義務が要求される。したがって、業務上の過失、まして業務上の故意による犯罪は、一般の場合よりも重く罰せられることがある。これも、「まあ、いいか」「このさい、やってやれ」といった怠慢または傲慢な「意志」が、注意義務の高さにてらして社会的に問題視される例である。仕事上の職務のほか、自動車の運転や銃刀の所持・使用など、危険をともなう活動は、典型的な「業務」である。

 

では、日本軍の海外での行為の一部は、どう評価できるか。

 

敵兵かどうか判然としない、無抵抗の者を殺傷する兵士の行為は、<未必の故意による業務上の実行行為>であり、刑法の概念からいえば、重い犯罪である。食料の強奪、放火、強姦が、兵士としてであろうが個人としてであろうが、故意による重大な犯罪であることはいうまでもない。

 

こうした行為が明文の戦時国際法に違反するかどうか。それは別の考察が必要になるが、刑法の概念からみれば、こうした日本軍の行為は明確に犯罪を構成するといえるだろう。

 

こうした犯罪行為は、個々の兵士が個々に行ったケースもあるが、その場合も、「業務」として武器をもっている兵士の行為を適切に管理せず、日本兵による犯罪の犠牲者を大量に生んだ日本軍当局には、「未必の故意」をふくむ「業務上」の重大な責任があるといえる。

 

人間の社会行為においては、行為の結果とともに、行為者の業務上の注意義務の有無や、行為の際の意志の内容が重視されること、結果および意志の内容からみて、日本軍と日本兵の行為は重犯罪とみなせること。

 

このように、結果だけでなく、個人および組織の怠慢ないし傲慢な「意志」に注目した歴史の認識の仕方が可能だし、今日、これは一般的にも受け入れられる考え方だろうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 靖国神社 | 06:06 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
NHK新会長の「慰安婦」暴言は無知からきている BBCも報道
NHK新会長が、就任早々、しかも最初の記者会見で、早くも「窮地にいる is in deep trouble」と、BBCが報道している。



http://www.bbc.co.uk/podcasts/series/globalnews



従軍慰安婦、NHKと政府の関係、領土問題などについての彼の発言内容が紹介され、彼はビジネスマンだが、報道関係の経験はなく、安倍政権が「NHKを従わせるため to bring the national broadcaster to heel」に送り込んだ人物と理解されているとも述べている。

ところが、この記者会見での暴言で、NHKを従わせるというより、「かえって不首尾 backfire」な事態になってしまったと、BBCは述べている。

この問題がどこまで波紋を広げるかは、日本の民主主義の行方をうらなうものになるだろう。



※なお、日本軍の慰安所では売春が強制されたこと、すなわち組織的強姦であったことが、他にはない大きな特徴である。そこが広く理解されていないために、「軍関係の慰安所は他国にもあった」というようなピントはずれの発言が一定の「共感」を得つづけている。








 
| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 靖国神社 | 10:58 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
安倍首相の靖国参拝 シェイクスピアの"Sea Change" と福沢諭吉の「情海」に溺れるのは誰か
安倍晋三が靖国神社に「内閣総理大臣」として参拝した。

辺野古の米軍基地建設を、沖縄県知事が承認した。

秘密保護法はすでに成立した。

憲法改正という面倒を回避する手法をもちいて、戦争のための体制は整った。








このごろ、アメリカのメディアの見出しに、Sea Change という言葉が多くなっているような気がする。

Sea Change は、17世紀のシェイクスピアが「テンペスト」のなかで使った言葉で、現在では海の水塊の動きや潮位の変化のように、どうにもならない根底からの大変化を指す。


Sea Change は、誰にも止められない。




日本では、福沢諭吉が19世紀末の著作「民情一新」で、「情海」という言葉をつかっている。



「けだし今の世界の人類は常に理を情との間に彷徨して帰するところを知らず。

これを要するに、細事は理に依頼して大事は情に出て成るの風なれば、その情海の波に乗ぜられて非常の挙動に及ぶもまた、これを如何ともすべからず。」



(引用は、丸山眞男・加藤周一『翻訳と日本の近代』岩波新書、1996年、171-172頁より)




福沢の「情海」は、シェイクスピアの Sea Change であろう。









安倍政権の方向が「情海」であり、Sea Change だというのではない。逆である。


これだけ疲弊した地球と世界に、彼らの愚劣を許す余裕があるとは思えない。




やがて盛り上がる「情海」のSea Change に飲み込まれ、溺れ、消えていくのは、彼らであろう。











 
| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 靖国神社 | 08:17 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
安倍晋三の軍事力アピール 歴史音痴の歌を聞かされる地球
安倍晋三首相が公共の場で撮影させた二枚の写真を掲載する。

一枚は今年4月のもので、都内のイベント会場にあった陸上自衛隊の戦車に乗りこみ、手を挙げている。

背広の上に戦闘服とヘルメット。

お茶目なパフォーマンスのようにも見えるが、文民として軍を統制する立場にある現役の首相が、みずから軍服を着て写真を撮らせるのは異様である。

たしかブッシュ・ジュニアが現役大統領のとき、軍服を着て写真を撮らせたことが、アメリカで相当批判されたことがある。








2013年4月27日、都内のイベントで.

http://jijitter.com/archives/26253883.html






もう一枚は、今年5月、宮城県の航空自衛隊での写真で、戦闘機に描かれた数字が「731」。

むろん、これは生物化学兵器を扱った日本の秘密部隊の通称と同じである。

こういう画像は、世界中に出回る。

安倍氏は、それを意図してやったとしか思えない。

日本の軍事力と、過去の正当性をアピールするつもりなのだろうが、こういう人物を首相にしたことを、われわれは覚えておく必要がある。









Japan's Prime Minister Shinzo Abe poses inside a cockpit of T-4 training jet plane in Higashimatsushima


2013年5月12日、宮城県航空自衛隊基地で.


http://nation.time.com/2013/05/20/sorry-but-japan-still-cant-get-the-war-right/?iid=obnetwork













| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 靖国神社 | 05:58 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
<ついに自由は彼らのものだ> 宇宙内存在としての赦しについて
さっきFMで、三好達治の詩「鴎(かもめ)」を木下牧子が合唱曲にしたものを流していた。

「鴎」は、敗戦直後、1946年の詩集にのった詩。



民俗学の柳田国男(1875-1962)が、海外で戦死した幾百万の兵士たちの霊はどうやって敗戦日本に帰ってこれるのかと、真剣に憂えていたという話を読んだことがある。

天皇の敗戦発表は8月15日、まさしく死者の霊を迎えるお盆であった。

天皇の「勅語」に死者の霊についての言及はないが、8月15日という日取りは、おそらく偶然ではなかったと私は推測している。







鴎(かもめ)


             三好達治



ついに自由は彼らのものだ 
彼ら空で恋をして
雲を彼らの臥所とする
ついに自由は彼らのものだ

ついに自由は彼らのものだ 
太陽を東の壁にかけ
海が夜明けの食堂だ
ついに自由は彼らのものだ

ついに自由は彼らのものだ 
太陽を西の窓にかけ
海が日暮れの舞踏室だ
ついに自由は彼らのものだ

ついに自由は彼らのものだ 
彼ら自身が彼らの故郷
彼ら自身が彼らの墳墓
ついに自由は彼らのものだ

ついに自由は彼らのものだ 
一つの星をすみかとし
一つの言葉でことたりる
ついに自由は彼らのものだ

ついに自由は彼らのものだ 
朝やけを朝の歌とし
夕やけを夕べの歌とす
ついに自由は彼らのものだ









| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 靖国神社 | 08:29 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
橋下大阪市長の<従軍慰安婦>発言 事実を知らない人間がいかに愚かになりうるか
従軍慰安婦についての橋下大阪市長の発言が問題になっている。

大学生約100人に自由記述させたところ、橋下氏の発言を全面的に肯定する者は少ないが、



「言論の自由があるから、発言じたいは自由」



「韓国を元気づけるから、言わないほうが良かった」



といった記述がかなりあった。

権力の座にある者による不適切な発言を擁護するかのような、転倒した「言論の自由」観は、若者のあいだに広く共有されている。

また、韓国を刺激するから言わないほうがよかったというのは、発言の内容じたいは容認しているようにもとれる。

特徴的なのは、従軍慰安婦についての史実をほとんど知らずに、上記のような「感想」を述べていることである(記述の様子からみて、きちんと史実を知っていた学生は、おそらくゼロ)。

従軍慰安婦をめぐる事実については、第一人者の吉見義明氏(中央大学)がインタビューに答えた番組がある。




http://www.youtube.com/watch?v=GlfhtnW4fM4




吉見氏は、日本軍が設置した施設である「慰安所」の実態を、詳しく説明している。

外国軍(たとえば米軍)にも日本軍に類似した施設があったという、橋下氏が信じているらしい「史実」についても、吉見氏はきちんと言及している。

学生たちと同じように、史実を知らないまま、橋下発言を言論の自由とか韓国との関係でイメージしている人もいると思う。

そういう人は、まずはこれを聞いてみることをおすすめする。













| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 靖国神社 | 21:31 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
祖国と戦場の遠い距離 <戦争という当然>について おわり
私の講義をうけた大学4年生が、次の言葉を答案に書いたことがある。



<当然のことに気づかせるために、歴史はくりかえしている>



最後に、映画「父親たちの星条旗」から、次のナレーションを紹介しておく。




”Heroes are something we create, something we need.”



"If we wish to truly honor these men we should remember them the way they really were."











(おわり)











| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 靖国神社 | 21:41 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
祖国と戦場の遠い距離 <戦争という当然>について その3
少し前、朝鮮戦争に従軍したオーストラリア兵だったかが、かつての戦地に招待されたという報道があった。

元戦場は、今はうっそうとした山間地帯になっている。

その光景を見ながら、「勇気をもって義務を果たしたことを誇りに思いますか?」という質問に、



「ここにいたのは、私というより、むしろ連隊 just the regiment だ。」



と答えていたのが印象に残った。

実際に戦場にいた人たちは、単純に自分を誇りに思ったりするものではないようだ。








(つづく)










| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 靖国神社 | 21:34 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
祖国と戦場の遠い距離 <戦争という当然>について その2
全長8キロほどの島で、日米あわせて二万人以上が戦死した硫黄島の戦い。

これを素材にしたクリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗 Flags Of Our Fathers」(2006) には、当時のアメリカの若者にとって、故郷を遠く離れ、見知らぬ東洋の軍隊と戦うのは心底からの恐怖だったことが語られている。

本当に恐ろしい体験をした人間は、それを容易に語れない。

なぜ語れないか。その理由を述べたセリフがでてくる。



"Most guys I knew would never talk about what happened over there, probably because they're still trying to forget about it."



「忘れようとしている最中だから、語れない」というのは真実だろう。


前記の Honor Flight Network に祖父が招待され、帰宅して三日後にその祖父が亡くなったという女性は、次のように語っている。



「私が聞かないかぎり、祖父は戦争については一言も話しませんでした。その後になって、ようやく祖父は自分たちの体験を世間に知ってほしいと思うようになったようです。 

 He loved his World War II buddies, but didn't talk about the war at all when I was a child, until I started asking some questions.

And by the time I was a young adult, he had collected the whole bunch of memorabilia and wanted the world to know what they have lived through and they had done.」












(つづく)











| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 靖国神社 | 21:33 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
祖国と戦場の遠い距離 <戦争という当然>について その1
第二次世界大戦に従軍した元米軍兵士たち veterans を飛行機に乗せ、ワシントンの戦争記念碑などに無料で招待する Honor Flight Network という団体がある。



http://www.pbs.org/newshour/rundown/2013/05/honor-flight.html



対象者は80代になっているが、アメリカ国内に2万3000人くらいいるという。

招待された元兵士の言葉を聞いていると、心境に表と裏があって、複雑のようだ。

表の発言は、<祖国が危なければ、当然戦わねばならない><自分は義務を果たしただけ。国はなんらわれわれに負債を負っていない>という<良きアメリカ人>的なものだが、その裏では、



「いちばん思い出すのは、恐怖感 fear だ 。

ジャングルのなかで、日本兵 Japs が何をしてくるかわからないという恐怖感だ。」



といった生身の言葉もあった。

この人は、十代で志願して戦争にいったため、高校を卒業する機会を失い、戦後は今でいうPTSD にかかって一般社会になじめず、けっきょく海軍に入り直したという。









(つづく)










| 三浦 陽一 (みうら・よういち) | 靖国神社 | 21:31 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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