2012.05.06 Sunday
"Raise the Bar! " 高いバーこそ能力を引き出すという原理について
アメリカのニュースサイトの動画広告に、
”アメリカの教育レベルが落ちている。ある国際テストによれば世界で17位だ。なんとかしなければ!”
と訴えているものがある(画面では、一位はフィンランド。日本は二位となっていた)。
たぶん中学か高校の数学・科学のテスト結果なのだろう。
そこに出てきた表現が印象的だった。
"Let's raise the bar, and elevate our academic standards. "
raise the bar というのは高飛びのバーを上げることからきた表現で、set a higher standard (基準レベルを高くする)のこと。
全体のレベルを上げるためには、ふた通りの発想がある。
① 課題をより容易化することで成績不振の低層部分を引き上げる。
② 目標をより高度化することでやる気を鼓舞し、全体のレベルを上げる。
多くの人が習得に困難を感じて進歩しない場合、習得の内容や方法が学習者の興味に合致しないとか難解すぎることが多い。この側面に対処するには①の容易化を実行する必要がある。
逆に、全体のレベルが上がらないのは目標が低すぎたり不明確であることも原因になる。この場合は②の高度化をはかる必要がある。
近年は①の容易化がおもに進行し、②の高度化が忘れられる傾向がある。"Let's raise the bar." というキャンペーンは、こうした傾向を批判し、レベルを上げる必要を訴えているわけだ。
おそらく多くの場合、①と②を併用するのが正解であって、両者が互いに影響しあったとき、最良の結果が得られるのであろう。
以前に小学校の先生方と話したとき、
「小学生も5、6年生になると、『簡単だからやってみよう』ではなく、『これは難しいけれどチャレンジしよう!』と言わないと生徒は乗ってこない。」
と言っていたのが印象に残った。
「簡単だからやってみよう」というのは、人間の心理の一面にすぎない。「難しいからこそやってみたい」という心理も大切なのである。
何かをなしとげようとするときは、誰もが出来るように工夫しつつ(私のいう「下げて平等」)、他方で We'll raise the bar! と公然と宣言する必要がある。
(おわり)



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